
1948年静岡県生まれ。73年時事通信社入社。
香港特派員、北京特派員、北京支局長、上海支局長などを歴任。
96年度ボーン・上田国際記者賞を受賞。98~2000年早稲田大学非常勤講師、04年から東洋大学教授。
著書に「中国ウォッチング」「中国人とつき合う方法」(以上、時事通信社)「北京特派員」「中国ビジネス 光と闇」(以上、平凡社)などがある。

中国はASEANとのFTA(自由貿易協定)の構想を進める一方で、ASEAN10カ国と日中韓三カ国による経済圏構想も提起している。が、これに米国やオーストラリアを加えることをかたくなに拒否している。アジアにおける中国の影響力を最大限に保つためだ。【第1章より】
――対北朝鮮
北朝鮮が日本や欧米諸国から激しいバッシングを受ける中、中国・北朝鮮間の取引は逆にますます増えている。北朝鮮の百貨店やマーケットには中国製品があふれ、かつては米ドルしか通用しなかった闇市場で人民元が幅を利かせているそうだ。【第1章より】
――対ベトナム
ベトナムの歴史はその多くが中国からの支配を振り切るための戦いで埋まっている。ベトナム人のDNAには中国の怖さが組み込まれているのかもしれない。ミャンマーやラオスで通じた中国語が、ベトナムのハノイではほとんど通じなかった。しかしそのハノイのマーケットに今、中国の商品があふれている。中国の商品が中国への警戒心が強いベトナムでも着実に広がっている。【第1章より】
――対ミャンマー
軍事的・経済戦略的に重要なインド洋ルートを確保するため、ミャンマー軍事政権を擁護する。民主化運動の弾圧も見てみぬふりで"秘密援助"を繰り返す。米国や欧米諸国の経済制裁やミャンマー政府の権力闘争が中国にとって逆に大きくプラスに働いている。ミャンマーへの制裁が長期化すればするほど、北東部で国境を接する中国に大きく頼らざるを得なくなるからだ。【第1章より】

石油確保のため、スーダン・ダルフール地方での許されざる"民族浄化"を黙認するスーダン政府をかばい続ける。世界がスーダンに圧力をかけるなか、中国は石油資源開発をほぼ独占し、スーダン最大の貿易相手国となっている。【第1章より】
中国ではこれまで、工場を建設するにしても、周囲の環境に対する配慮をほとんどしてこなかった。環境を守るための設備投資はコストのアップの原因で、「もうけにつながらない」と考えていたからだ。工場廃水は垂れ流し。排ガスによる大気汚染も見てみぬふり。それが今、"つけ"となって中国に降りかかり、人々を苦しめている。【第7章より】
中国では昔から劣悪商品が結構、出回ってきた。これが今も変わらず、ますますひどくなっている。しかし、そんな中国でも絶対に許されない限度というものもある。人の命を奪ってまで金儲けをすることだが、中国のビジネスはこの一線を越えて進んでいる。象徴的なのが悪質な粉ミルクによる赤ちゃんの大量死亡事件だ。【第7章より】

中国では「反日」は国策に沿ったものだ。日本軍国主義を打倒したということが、中国共産党政権のレゾンデートル(存在理由)となっており、「反日」は原則としてブレーキをかけるべきものではないことになっている。【第2章より】
「反日」が日本の"過去"に対する中国の人たちの恨みから出発していることを否定はしない。しかし、その「反日」は今や、"過去"の恨みという装いを残しながら、実は、アジアの盟主の座をめぐる日本との駆け引きの材料に変質してきている。【第2章より】

台湾の独立をめぐる中台の駆け引きは、戦争勃発という“危険ライン”をお互いが見据えながら、ぎりぎりのところで行われており、中台関係は外部からでは非常に見えにくく、複雑極まりない。台湾にとって中国は、経済で見る限り、今や切っても切れぬ大切なパートナーとなっている。だが、見方を変えれば、この経済関係が台湾独立を阻止させるための"人質"になっているということでもある。【第4章より】
2005年10月の台湾国民党・連戦名誉主席の中国訪問は極めて大きな政治的意味を持っていた。パンダの受け入れをめぐって台湾内部で激しい意見対立が起きていたが、連氏は中国からのパンダ贈与を見越して可愛いパンダを夫婦で抱いた微笑ましい写真を大陸から台湾に向けて送り出した。「パンダはミサイルより強力」。中国の台湾支配のための駆け引きは激しくなるばかりだ。【第4章より】
中国政府はダライ・ラマ十四世が認定した「転生霊童」を承認せず、自宅から連行し、パンチェン・ラマ十一世として別の少年を即位させた。ダライ・ラマと、次期ダライ・ラマを認定する権限をもつパンチェン・ラマという二人の大活仏を完全に手中に収め、チベットをコントロールしていくためである。【第4章より】

"大中華"は中国大陸に住む人たちに根付いた遺伝子(DNA)のようなもの。政治であろうと、ビジネスであろうと、必要なのは、中国の強さと弱さをしっかりと見据え、単なる大きさに臆することなく、堂々とわたり合うことだ。【あとがきより】

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