家庭の医学 > 4月改正「標榜(ひょうぼう)診療科」を解説〜診療科の表記方法が変わります〜
4月改正「標榜(ひょうぼう)診療科」を解説〜診療科の表記方法が変わります〜
病院などの医療機関が外部に掲げている「内科」や「外科」といった診療科名は、「標榜(ひょうぼう)診療科」といって、医療法で定められたものです。医療法の改正に伴い、2008年4月1日から標榜診療科の表記方法が変わりました。今回の改正について厚生労働省は、医療の専門化が進むなかで、「患者や住民が自分の病状にあった適切な医療機関の選択を支援するため」とし、診療科標榜も多様な表記を用いることができるようになりました。ただし、現場が混乱しないように、3月以前から掲げている表記については、引き続き標榜できる経過措置を講じています。しかし、新規に掲げることができる標榜診療科もある一方、いずれ使用できなくなる診療科もあります。4月から施行された「診療科名の見直し」を──。
「限定列挙方式」から部位、症状などと組み合わせた「包括的規定方式」へ
3月まで施行されていた標榜診療科は、診療科名を一つ一つ決めていた「限定列挙方式」で、医科34、歯科4の38種類でした。

2008年3月までの標榜診療科
医科(34) 歯科(4)
内科 整形外科 眼科 歯科
心療内科 形成外科 耳鼻いんこう科 小児歯科
精神科 美容外科 気管食道科 矯正歯科
神経科 脳神経外科 リハビリテーション科 歯科口腔外科
呼吸器科 呼吸器外科 放射線科
消化器科 心臓血管外科 神経内科
循環器科 小児外科 胃腸科
アレルギー科 皮膚泌尿器科 皮膚科
リウマチ科 性病科 泌尿器科
小児科 こう門科 産科
外科 産婦人科 婦人科
麻酔科(※見直しの対象外)
この限定列挙方式を、診療科名と「臓器や身体の部位」、「患者の特性」、「診療方法」、「症状・疾患」などの属性と組み合わせた「包括的規定方式」に見直したのが、今回の改正の大きな特徴です。
具体的には、大きく分けて下の3つの柱からなっています。

1. 「内科」、「外科」、「歯科」は単独で標榜できます
2. 「内科」、「外科」、「歯科」は以下の4つの属性と合わせて標榜できます
(1)臓器や身体の部位
(2)対象とする患者の特性
(3)診療方法
(4)症状、疾患

診療科と組み合わせることのできる4つの属性と具体例
(1)臓器や身体の部位 (2)対象とする患者の特性 (3)診療方法 (4)症状、疾患
(部位、器官、臓器、組織またはこれらが果たす機能) (医学的処置) (疾病、病態の名称)
頭頸部 食道 脳神経 男性 薬物療法 人工透析 感染症
頭部 胃腸 女性 透析 臓器移植 腫瘍
頸部 十二指腸 神経 小児 移植 骨髄移植 がん
胸部 小腸 血液 新生児 光学医療 内視鏡 糖尿病
腹部 大腸 乳腺 児童 生殖医療 美容 アレルギー疾患
呼吸器 循環器 内分泌 思春期 不妊治療 心療
気管食道 肛門 代謝 老人 疼痛緩和 整形
気管 血管 脂質代謝 老年 緩和ケア 形成
気管支 心臓血管 肝臓 高齢者 漢方
心臓 胆のう ペインクリニック
消化器 腎臓 すい臓 化学療法

【組み合わせ例(内科の場合)】
 ・内科+(1)臓器や身体の部位=胃腸内科、呼吸器内科 など
 ・内科+(2)対象とする患者の特性=女性内科、高齢者内科 など
 ・(1)〜(4)の2つ以上の組み合わせも可能
 内科+(2)対象とする患者の特性+(3)診療方法=高齢者心療内科 など
 内科+(1)臓器や身体の部位+(4)症状・疾患=呼吸器感染症内科 など

3. 内科、外科と組み合わせて標榜することが難しいなど、包括的規定方式では表記しにくい診療科は、「単独表記」と「(1)〜(4)の属性と組み合わせた表記」のいずれもが可能です。

 【単独表記及び(1)〜(4)の属性と組み合わせることができる診療科】
 精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科
 産婦人科(産科、婦人科の代替も可能)、眼科、耳鼻いんこう科
 リハビリテーション科、放射線科(放射線診断科、放射線治療科の代替も可能)
 病理診断科、臨床検査科、救急科

診療科と4つの属性との組み合わせについては医療機関の自由裁量ですが、表記方法の基準については、厚生労働省は「不合理でないもの、客観的に判断できるもの、事後検証が可能なもの」としています。例えば、「痛くない外科」「長生き内科」など主観的な判断にもとづくものや検証が不可能な診療科名は不適切とみなされます。そのほか、医師一人について、主な診療科名の表記を2つまでとしています。
なお調査すると、改定前から便宜上、診療科の一部を包括的な規定方式で表記している医療機関も多々あります。例えば、東京大学医学部附属病院では「呼吸器外科」「血液内科」ほか、順天堂大学医学部附属順天堂医院でも「呼吸器内科」「糖尿病・内分泌内科」「血液内科」「循環器内科」などを診療科として掲げています。

新しい標榜と廃止の診療科
救急科など、新たに加わった診療科がある一方、単独では標榜することができなくなった診療科もあります。包括的方式だと不合理になる診療科で、神経科、呼吸器科などです。

新たな診療科
救急科、病理診断科、臨床検査科
廃止の診療科
神経科、呼吸器科、消化器科、胃腸科、循環器科 皮膚泌尿器科
性病科、こう門科、気管食道科

胃腸科の場合、胃腸は4つの属性の(1)臓器や身体部位と重複します。改正後は、内科と組み合わせれば「胃腸内科」、外科ならば「胃腸外科」となります。これらの診療科は、以前から掲げていた場合は経過措置がとられますが、いずれ標榜できなくなります。
どの医療機関も、診療科名を包括規定方式で見直して、新たな診療科名を標榜するときには届け出が必要となります。東京都の窓口となる東京都保健局医療政策部は、「スタートしたばかりなので統計はまとめていませんが、申請を出している病院はあります」としています。
また厚生労働省医政局総務課では、「法令が施行されたばかりで、適切な標榜などについての問い合わせが多い状態です。標榜の変更は医療機関、患者ともに負担や混乱を伴うことなので、時間をかけて見守ることも必要。とはいえ、法令化されたことなので迅速な対応も」とコメントしています。同省では、診療科改正に伴い調査統計などにも変更が生じるため、その対応についても協議を進めています。
改正後の表記方法と想定される診療科名の例
単独表記できる診療科を▼▼科、(1)〜(4)の属性を○○とした場合
1)「○○ ▼▼科」…属性と診療科を続けて表記する
  例:胃腸内科、食道外科 など
2)「○○・▼▼科」…属性と診療科を「・」で区切る
  例:腎臓・人工透析内科、糖尿病・代謝内科 など
3)「○○科(▼▼)」…診療科を頭に表記し、属性をカッコ内で示す
  例:内科(呼吸器)
厚生労働省では、通常考えられる診療科名と不合理な組み合わせとして認められない診療科名について、次のように例示しています。
厚生労働省が例示する、考えられる診療科名
医科 歯科
内科 外科 その他
(1)

(3)

内科 外科 精神科 小児歯科
呼吸器内科 呼吸器外科 呼吸器外科 矯正歯科
循環器内科 心臓血管外科 リウマチ科 歯科口腔外科
消化器内科 心臓外科 小児科
心臓内科 消化器外科 皮膚科
血液内科 乳腺外科 泌尿器科
気管食道内科 小児外科 産婦人科
胃腸内科 気管食道外科 産科
腫瘍内科 肛門外科 婦人科
糖尿病内科 整形外科 眼科
代謝内科 脳神経外科 耳鼻いんこう科
内分泌内科 形成外科 リハビリテーション科
脂質代謝内科 美容外科 放射線科
腎臓内科 腫瘍外科 放射線診断科
神経内科 移植外科 放射線治療科
心療内科 頭頸部外科 病理診断科
感染症内科 胸部外科 臨床検査科
漢方内科 腹部外科 救急科
老年内科 肝臓外科 児童精神科
女性内科 膵臓外科 老年精神科
新生児内科 胆のう外科 小児眼科
性感染症内科 食道外科 小児耳鼻いんこう科
内視鏡内科 胃外科 小児皮膚科
人工透析内科 大腸外科 気管食道・耳鼻いんこう科
疼痛緩和内科 内視鏡外科 腫瘍放射線科
ペインクリニック内科 ペインクリニック外科 男性泌尿器科
アレルギー疾患内科 外科(内視鏡) 神経泌尿器科
内科(ペインクリニック) 外科(がん)など 小児泌尿器科
内科(循環器) 小児科(新生児)
内科(薬物療法) 泌尿器科(不妊治療)
内科(感染症) 泌尿器科(人工透析)
内科(骨髄移植)など 産婦人科(生殖医療)
美容皮膚科など








血液・腫瘍内科 小児腫瘍外科 頭頸部・耳鼻いんこう科 小児矯正歯科
糖尿病・代謝内科 女性乳腺外科 美容皮膚科(漢方)
老年心療内科 移植・内視鏡外科
老年・呼吸器内科 消化器・移植外科
消化器内科(内視鏡) ペインクリニック整形外科
腎臓内科(人工透析) 脳・血管外科
腫瘍内科(疼痛緩和) 肝臓・胆のう・膵臓外科
大腸・肛門外科
腎臓外科(臓器移植)
認められない診療科名
診療科名 不合理な組合せとなる事項
内科 整形または形成
外科 心療
アレルギー科 アレルギー疾患(「アレルギー疾患アレルギー科」)
小児科 小児、老人、老年または高齢者
皮膚科 呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓または脳
泌尿器科 頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓または脳
産婦人科 男性、小児または児童
眼科 胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓または心臓
耳鼻いんこう科 胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓または心臓
【参考:標榜診療科の改正に関するホームページ】
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/

(2008.5.16)

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