国別に症例報告のポイントをまとめると──(5月5日時点・国立感染症研究所感染情報センターホームページより)。
○カナダ
アメリカ東部夏時間5月5日15時現在で、検査確定症例は合計140人(発症日は約76人の情報が利用可能で、最も早い発症者は4月13日、直近の発症者は4月30日)。
症例の年齢は、大多数が50歳以下で中央値は22歳(範囲・2歳〜64歳)。65歳以上の症例はゼロでした。患者の男女比はほぼ同数。症状発症7日以内の渡航が判明している50人中45人がメキシコに、1人がアメリカ合衆国に、4人は渡航先の国が特定されませんでした。注目すべき点は、ノバスコシアの学校における集団感染と関連する初期の症例の間では、症状の中に発熱があった人が半分以下で、病状は咳や熱とともに筋肉痛及び鼻漏のような軽症のインフルエンザ疾患(ILI)症状があったことが特徴でした。また、表にはしていませんが、数人が下痢を報告しています。
○メキシコ
5月5日現在、合計949人の検査確定症例と42人の死亡が確認されています。さらに、疑い症例が11,932例報告されています。 症例の年齢のほとんどは、5歳と44歳の間で、60歳を超える症例も報告されています。患者の男女比はほぼ均等。初期の症例で、15歳から29歳、および30歳から44歳のグループに重症呼吸器症及び肺炎患者が認められ、通常とは異なるパターンを示しました。 約2000人が入院し、入院の平均期間は5日から7日で、入院症例の約17%が人工呼吸器を必要としました。2次的細菌肺炎は入院患者数人で発生しました。 平均的な、有症状期間は13日で、症例が確定された者のうち、情報取得が可能であった症例においては、発熱、呼吸困難、咳、頭痛、鼻漏が多くみられた症状で、解熱に最大9日間要した患者も数人いました。
○スペイン
スペインはアメリカ合衆国でインフルエンザA(H1N1)の最初の症例が報告された直後から強化サーベイランス(監視)を開始しています。サーベイランスは、発熱および急性呼吸器症状のあるメキシコからの帰国者の検出に的を絞り、臨床的判定基準は、37.5℃の熱および曝露後10日間以内の発症を含めています。 5月5日現在、検査確定症例は57人(最も早い発症日は4月19日で、直近の発症日は4月30日)。 症例の47%が男性で、年齢の平均および中央値はそれぞれ24.2歳と23歳(範囲・19歳〜55歳)でした。 症例57人のうち、52人は感染確認地域への渡航歴があり、5人は確定症例との濃厚接触者でした。2次感染患者5名の潜伏期間は1〜5日で中央値は3日です。全症例ともに、軽症のインフルエンザ疾患(ILI)症状があり、3日から5日以内に回復しています。95%以上に熱および咳があり、約50%に頭痛、鼻漏、咽頭痛、倦怠感及び下痢症状がありました。全ての症例をオセルタミビア(タミフル)で治療。症例との接触者は追跡調査で見つけ出し、オセルタミビア(タミフル)の予防投与を行いました。
○イギリス
アメリカ合衆国とメキシコでのインフルエンザA(H1N1)発生報告後、速やかにサーベイランスを実施。5月5日現在、検査確定症例は合計58人(最も早い発症日は4月16日で、直近の発症日は4月30日)。患者の年齢の中央値は25歳で、40歳を超えた症例は稀(メキシコへ渡航した症例の中で、2人が40歳代で、3人が50歳)です。男女比では、女性が半数を少し上回っています。症例の多くが学齢期の集団発生です。症例28人のうち、18人は感染地域に渡航し、10人は症例の接触者です。接触者10人のうち7人は学校と関連し、そのうち2人は感染地域に渡航した確定症例の家族で、残り5人は学校の他の生徒でした。渡航者およびその濃厚接触者の調査の初期データによると、潜伏期は4日から6日と思われます。確定症例の全員に熱と軽症の症状があり、28人中3人だけが下痢または胃腸症状がありました。2人は入院しましたが、疾患が重症なためではなく、感染を拡大しないための処置でした。
○アメリカ合衆国
5月5日現在、検査確定症例は642人。そのうち疾患の発症日が判明しているのは394人で、範囲は3月28日から5月1日。そのほか、700人を超える疑いが濃厚な症例として報告されています。確定症例の男女比はほぼ同数で、年齢の中央値は20歳(範囲・3か月〜81歳)。アメリカ合衆国での初発例は発生地域への旅行と学校での集団感染に関連しており、それが引き続いて家族や学校での接触者への伝播につながったとみられます。最近の報告数の増加は、発生地域への旅行に関連はしていません。
入院についての情報が入手できた確定症例は399人で、そのうち36人(9%)が入院しました。さらに、詳細情報が得られた入院患者22人のうち、12人は慢性疾患、妊娠または5歳未満児といった季節性インフルエンザの合併症リスクを高くする要因があり、入院の主な理由は重症呼吸器疾患のためで、基礎疾患が原因ではありませんでした。暫定的データからは、潜伏期間は2〜7日で、2次感染の発病率は約22%と推定されています。が、さらに高い発病率が、いくつかの学校に関連した集団感染で観察されています。 |