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乳がん早期発見のために
日本人女性の約16人に1人がかかるといわれ、年間約5万人が罹患している乳がん。乳がんの発生は20歳を過ぎたころから認められ、40代後半に最も発生率が高くなります。その罹患率は年々増え続け、壮年期(30〜64歳)の女性のがん死亡原因の1位にもなっています。
しかし、乳がんは早期に発見することができれば治る可能性が非常に高いがんでもあります。正しい知識を身につけて、早期発見・早期治療に役立てましょう。
乳がんってどんな病気?
乳腺の細胞に発生したがんのことです。乳頭を中心に枝状に伸びた乳腺の先には、乳汁をつくる小葉と呼ばれる場所があります。乳がんのほとんどは、この小葉を出てすぐの乳管に発生します。
そして、がん細胞が小葉や乳管内にとどまっているものを「非浸潤性乳管がん」、乳管の外に出て周囲にまで広がったものを「浸潤性乳管がん」と呼びます。非浸潤がんの状態で発見できれば、転移・再発の可能性は低く、小さいものなら多くの場合抗がん剤の使用も不要です。
女性のがん部位別 死亡者数の推移
乳がんが社会問題化しているアメリカでは、約8人に1人の女性が乳がんにかかっているといわれています。日本人女性の乳がん患者数・死亡者数は、まだアメリカよりも低い水準ではあるものの、食生活の欧米化にともなって年々確実に増えてきています。
女性のがん部位別 死亡者数の推移
検診率
日本では、1987年に視触診による乳がん検診を導入。1991年からは厚生省(現:厚生労働省)による研究が開始され、2004年には乳がん検診について40歳以上を対象にマンモグラフィー(乳房X線撮影)と視触診との併用検査とすることとしました。
しかし、平成19年に実施された「国民生活基礎調査」によると、男性・女性ともにがん検診の受診率は2〜3割程度と厚生労働省が掲げる受診率50%の目標には届かず、特に子宮がんと乳がんについては検診率が低いのが現状です。
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乳がんになりやすい人
乳がんの発生・増殖は、女性ホルモンであるエストロゲンと深い関係があります。初潮とともに女性の体内で分泌されるようになり、閉経を迎えるまでエストロゲンを中心としたホルモン周期が始まります。何らかの原因によりホルモンのバランスが崩れると、このエストロゲンが過剰になり、乳がんの発生を促進すると考えられています。
まれに男性も乳がんになる場合がありますが、その確率は女性の1/100以下で、女性特有の因子によるものがほとんどです。
乳がんのリスク因子
初潮が早かった(10歳以下)
閉経が遅かった(55歳以降)
月経周期が短い
出産の経験がない
初産の年齢が30歳以上
肥満体質
お酒を習慣的に飲む
血のつながった家族に乳がんの人がいる
乳腺の病気にかかった事がある
乳がんができやすい部位
乳房は乳頭を中心に、内側上部(A)、内側下部(B)、外側上部(C)、腋窩(えきか)部(C′)、外側下部(D)、乳輪・乳頭部(E、E′)に分けられます。 その中でも乳がんの発生は外側上部(C)が約50%と一番多く、次いで内側上部(A)約20%、外側下部(D)約10%、乳輪部(E)約5%、内側下部(B)約5%と続きます。 左右では、左の乳房のほうができやすい傾向にあります。
外側上部 50% (C)
内側上部 20% (A)
外側下部 10% (D)
内側下部 5% (B)
乳輪部 5% (E)
複数の部位 10%
日本乳癌学会編、乳癌取扱い規約、第15版(金原出版)
乳がんの病期分類
乳がんの病期(ステージ)は、しこりの大きさと症状(T)、リンパ節への転移の有無(N)、他の臓器への転移の有無(M)によって分類するTNM分類が一般的です。 病期は、0期、1期、2A期、2B期、3A期、3B期、3C期、4期の8段階に分けられます。
ステージ0期 がんが乳腺の中にとどまっているもので、早期の乳がんです。これを「非浸潤性乳がん」といいます。
ステージ1期 しこりの大きさが2cm以下で、わきの下のリンパ節に転移していないものです。
ステージ2A期 しこりの大きさは2cm以下ですが、わきの下のリンパ節に転移があるものです。または、しこりの大きさが2〜5cmで、わきの下のリンパ節に転移がない場合もこのステージです。
ステージ2B期 しこりの大きさが2〜5cmで、わきの下のリンパ節に転移があるものです。
ステージ3A期 しこりの大きさは2cm以下で、わきの下のリンパ節への転移が癒着していたり、周辺の組織に固定しているものです。または、わきの下のリンパ節への転移はなく胸骨の内側のリンパ節へ転移がある場合、しこりの大きさが5cm以上でわきの下または胸骨の内側のリンパ節に転移があるものもこのステージです。
ステージ3B期 しこりの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、しこりが胸壁にがっちりと固定していたり、皮膚にまでしこりが出ている、皮膚が崩れたりむくんだりしているものです。
ステージ3C期 しこりの大きさに関わらず、わきの下や胸骨の内側・両方のリンパ節に転移しているもの、あるいは鎖骨の上下のリンパ節に転移しているものです。
ステージ4期 しこりやリンパ節の状態にかかわらず、骨・肺・肝臓・脳などへ遠隔転移があるものです。
再発乳がん 初期治療を行ったあと、再び乳がんが出てくることを「再発乳がん」といいます。通常は他の臓器に出てくる「遠隔転移」を指し、ステージ4期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。すでに手術をした部分に再発した場合は「局所・領域再発」と呼んで区別しています。
症状
乳がんの症状は痛みを伴わない場合がほとんどで、しこりが大きくなるまで気づかないということもあります。そのため、早期の発見には医療機関での定期的な検診が欠かせません。

● しこり
しこりには、乳腺症や乳腺繊維腺腫などのように良性のものもあります。乳がんのしこりは「硬い」「境界がはっきりしない」「痛みが無い」などの特徴があります。
● 乳頭や乳房の変化
しこりが肥大化して皮膚の表面にまで達すると、乳房の皮膚が引っ張られて表面にくぼみができることがあります。さらに進行すると、皮膚が炎症を起こしたように赤くはれてきます。また、妊娠や授乳期でない時期に乳頭から分泌物が出る乳頭異常分泌などの症状もあります。
検診方法
乳がん検診は、乳腺外科や外科、それらがある総合病院での受診となります。厚生労働省では、40歳以上の女性に対して「2年に1回」のマンモグラフィー検診と視触診の併用診断を推奨しています。

● 視触診
乳房の形の変化などを診ながら、乳房に「しこり」がないかを調べます。「しこり」の大きさや形・硬さ・動き・痛み等を総合的にみて判断します。
● マンモグラフィー
乳腺・乳房専用のレントゲン撮影です。乳房を片方ずつX線の撮影台にのせ、上からプラスチックの板で圧迫した状態で撮影します。痛みを伴うことがありますが、生理前の1週間を避けると比較的痛みが軽減されるようです。乳房の大小にかかわらず、撮影は可能です。視触診ではわからない早期がんの発見が可能になります。

日本乳癌学会認定・関連の専門医、専門施設等
http://www.jbcs.gr.jp/shisetu/shisetu.html
【参考】
厚生労働省
日本乳癌学会
(2011.1.17)
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