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高病原性鳥インフルエンザの拡大
新型インフルエンザの国際会議 時事2006年2月、イタリアとギリシャで、死亡した白鳥から高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)が検出されました。EU(欧州連合)では初めてのことで、その後、ドイツ、スイス、ポーランド、フランスで相次いで感染が確認されました。ヨーロッパ以外でも、アフリカのナイジェリアでH5N1型に感染した鶏が確認され、これまでアジアを中心に発生していた鳥インフルエンザがヨーロッパ、アフリカ、中東へと拡大し、北米へと波及する恐れが出ています。
さらに鳥類以外へもウイルス感染が広がっており、2006年3月には、ドイツ、オーストリアなどで猫への感染が確認されています。これはウイルスに感染した鳥を食べて感染したと考えられ、ドイツでは猫のほかにテンへの感染も確認されたことから、同様の食餌習慣を持つ動物への拡大が予想されています。また、猫やテンへの感染事例から、同じ哺乳類であるヒトへの感染、さらにヒトからヒトへと感染する新型インフルエンザの発生が懸念されています。
2003年以降、WHO(世界保健機関)に報告されたアジアでの鳥インフルエンザの感染者は176人、そのうち97人が死亡しています(2006年3月10日現在)。死亡率50%以上という、実に恐るべき数字です。こうした事態から、WHOでは強い毒性が予想される新型インフルエンザの世界的流行(パンデミック)を警告しています。
新型インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染して起こる感染症で、通常は鳥から鳥や豚、人から人など、比較的限られた動物間で感染します。人間社会で毎年流行する人インフルエンザは、A型とB型があり、多くはA型といわれています。
現在、懸念されているのは、鳥と濃厚な接触があった時しか人へ感染せず人から人には感染しないはずの鳥インフルエンザウイルスが変異(性格が変わること)して、人から人に感染する新型インフルエンザが生まれることです。
この鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザウイルスに変異するには2つのルートが考えられます。ひとつは、鳥類や人の体内での変異で、もうひとつは、鳥インフルエンザと人インフルエンザに人や豚が同時に感染して混合するケースです。こうして生まれた新型インフルエンザは、人から人に感染し、さらに人の体内で変異し、新たな新型となる可能性もあります。
過去の歴史を見ると、新型インフルエンザは10年から40年周期で世界的に流行し、多くの死者がでています。ここ数年、東アジアを中心に流行している鳥インフルエンザA(H5N1)が新型に変異し、世界的流行を引き起こす可能性が危惧されています。
世界各国で流行した過去の新型インフルエンザ
年度 呼称 発生地
1918〜20 スペイン風邪 北米/中国 スペイン風邪では世界中で約4000万人、日本でも約39万人が死亡しました。このころから、インフルエンザの病原体はウイルスではないかと考えられるようになりました。
1957〜58 アジア風邪 中国 アジア風邪では日本では約300万人がかかり、約5700人が死亡。
1968〜69 香港風邪 中国 香港で発生した香港風邪は、発生から約2週間で50万人以上が感染し、一度下火になったものの、再流行しました。この香港風邪の流行で、新種のウイルスが発生した場合には、従来の免疫はまったく役立たないことが実証されました。
1977〜78 ソ連風邪 中国/ロシア
WHOでは、新型インフルエンザの危険度レベル(フェーズ)を1〜6に設定し、注意を呼びかけています。フェーズ1は鳥から人へ感染する可能性のあるウイルスが検出された段階で、2は鳥から鳥へ感染し、そのウイルスが人へ感染するリスクが高いものの、人には感染していない時期。3は鳥から人への感染はあるが人から人への感染はない時期、4は人から人への感染が確認されているが、小規模である時期。5は、ある地域、国での集団感染が見られる時期、6が世界的大流行期(パンデミック)です。現在は、鳥から人に感染するフェーズ3ですが、4の人から人への段階になると、短い時間で6のパンデミックになることが予想されています。最悪の場合、世界で約1億5000万人が死亡すると推定しています。厚生労働省では、日本で流行した場合、4人に1人が感染し、約2500万人が診療を受け、死者は約17万人から64万人と想定しています。
新型インフルエンザの症状と対策
現段階では、症例が確認されていない新型インフルエンザの症状の予測は困難ですが、東南アジアでの鳥インフルエンザによる感染者は、発熱、咳などの症状に加え、60%以上が下痢を伴っています。また、死亡の原因の多くは肺炎でした。
通常のインフルエンザは、感染者の咳、くしゃみなどで放出されたウイルスの吸引により感染(飛まつ感染)します。潜伏期間は1〜2日で、感染してから約48時間以内に発熱、咳などの症状が現れます。臨床診断の目安としては、(1)38度以上の高熱、(2)咳、咽頭痛、鼻水、鼻づまりなどの症状が1つでもあること、(3)頭痛、全身の不快感、悪寒、倦怠感のいずれかの症状があること、の3つです。この3つを満たしていると、インフルエンザの可能性が高いと考えられます。重症の場合、急激に肺まで症状が及び、死亡するケースもあります。通常、感染して症状が現れてから、2日以内の投薬が有効です。
厚生労働省では新型インフルエンザ対策推進本部を設置し、対応しています。そして、個人でできる予防対策としては、外出後のうがいや手洗い、マスクの着用、充分な休養をとって体力や抵抗力を高め、日ごろからバランスよく栄養をとることを勧めています。また、感染地域への渡航などは、出来るだけ控えるように呼びかけています。国際線が着く空港では、ウイルスの侵入を防ぐため、感染国からの入国者の靴底の衛生処理を実施しています。
地方自治体では宮崎県がいち早く、新型インフルエンザへの具体的な対策を打ち出しました。感染が疑われる場合は指定病院の指定窓口で受診し、新型と判明した場合は指定病室に隔離して、患者家族や患者と接触した人も診察し、外出なども控えてもらいます。他の自治体も対応の差はありますが、それぞれにガイドラインを作成、あるいは作成中です。詳細は、各都道府県、市町村の窓口へ。
新型インフルエンザに有効な治療薬
今のところ、最も治療に有効とされているのは、これまでも使用されている抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」です。カプセルタイプとドライシロップタイプがあり、インフルエンザの症状がでてから48時間以内の服用に効き目があります。48時間以上経過した後の服用では、有効性を裏付けるデータがないので、感染が疑われたら、一刻も早く、医師の診断を受けることです。
タミフルは治療ばかりでなく、予防にも使用されますが、予防で効果があるのは、感染者に接触してから48時間以内の服用なので、早めに病院に行きましょう。
タミフルについての情報は、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/index.html)からも入手することができます。

【タミフルの入手方法】
(1)タミフルの添付文書は、医療用医薬品の添付文書情報(検索ページ:http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)の「一般名・販売名」に「タミフル」と入力し、[検索実行]ボタンをクリックすることにより入手できます。
(2)タミフルの「くすりのしおり」(医師や薬剤師などの医療提供者から患者さんに、その「くすり」の概要を説明する際の補助資料です)は、くすりの適正使用協議会のウェブサイト(http://www.rad-ar.or.jp/siori/kensaku.html)で、検索・入手できます。
(3)タミフルのインタビューフォーム(医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書です。日本病院薬剤師会が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼しているものです)は、中外製薬株式会社ウェブサイトの「医療関係者向け情報」(http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/di)で、検索・入手できます。
(厚生労働省の新型インフルエンザのホームページより)
【WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染確定症例数】
2006年3月10日(原文)
2003 2004 2005 2006 合計
確定
症例数
死亡
例数
確定
症例数
死亡
例数
確定
症例数
死亡
例数
確定
症例数
死亡
例数
確定
症例数
死亡
例数
カンボジア 0 0 0 0 4 4 0 0 4 4
中国 0 0 0 0 8 5 7 5 15 10
インドネシア 0 0 0 0 16 11 11 10 28 21
イラク 0 0 0 0 0 0 2 2 2 2
タイ 0 0 17 12 5 2 0 0 22 14
トルコ 0 0 0 0 0 0 12 4 12 4
ベトナム 3 3 29 20 61 19 0 0 93 42
合計 3 3 46 32 94 41 32 20 176 97
注)確定症例総数は死亡例数も含む。
  WHOは検査により確定された確定例だけを報告する。
  (国立感染症感染研究所感染情報センターホームページより)
(2006.3.13)
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