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海外旅行時の感染症対策〜年末年始に〜
アメリカのサブプライム問題で、日本経済も打撃をうけましたが、一方、円高の影響で、年末年始に海外旅行を予定している人も多いことでしょう。そんななか、懸念されているのが新型インフルエンザの世界規模での流行です。今春、秋田県・十和田湖畔で白鳥から鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が検出された事などから、今冬は各地の渡り鳥の飛来地で渡り鳥の餌付けを禁止したり、飛来した沼地や湖に近づく一般人には靴の消毒を励行してもらうなど、鳥インフルエンザ、及び、鳥インフルエンザの変異による新型インフルエンザの防止対策を行う自治体も増えています。11月27日には、成田空港にて(主催:厚生労働省成田空港検疫所)、新型インフルエンザが海外から持ち込まれることを想定した、国内での感染を水際で防ぐための訓練が実施されました。今、世界的な流行が懸念されている新型インフルエンザ及び、海外旅行時に気をつけたい感染症・病気などの対策を紹介しましょう。
WHO(世界保健機関)も懸念する新型インフルエンザの脅威

鳥から鳥に伝染する毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)が人間に伝染し、新たなウイルスに変異して人間から人間へと伝染していくことが危惧されているのが、新型インフルエンザです。幸いにも、今のところ、人間から人間に伝染する新型インフルエンザの発生はみられませんが、WHO(世界保健機関)の発表では、2003年(11月)から2008年(9月)までの、鳥インフルエンザの感染者は387人で、そのうち死亡したのは245人。高い死亡率です。厚生労働省成田空港検疫所によると、鳥インフルエンザが鳥から人に感染した中国、インドネシア、タイなどの国から日本に入国する乗客・乗員は1日1万3500人を超えるといいます。同所の実施した先日の訓練では、帰国する機内に、発熱、セキなど感染を疑われる症状の乗客がいるとの想定でしたが、参加した検疫官や医療スタッフは防護服、マスク、防護メガネを着用した完全防備スタイルで、感染患者の診察や病院までの搬送、同乗していた乗客ら全員への精密な検査など、実際に発生したときと同様の体制で行われました。
強い感染力、死亡率の高さが予想され、未知の感染症であるがゆえに、有効な対策に決め手を欠くもどかしい現状ですが、厚生労働省では、鳥インフルエンザが発生した地域に海外旅行をする人には、次のような注意を呼びかけています。

不用意に、鳥類に近寄ったり触れたりしないこと(特に、家きんが飼育されている場所、市場などの生きた鳥を販売している場所や食用に鳥を解体している場所にも立ち入らないこと)
鳥の解体や調理をしない。鳥を扱ったり、触れてしまった場合には必ずよく手を洗う。
十分に加熱された鳥肉、卵などを食べる。

また、同省では、国内で個人ができる対策の一つとして、「マスク」の着用を勧めています。新型インフルエンザ対策は通常のインフルエンザ対策の延長線上にあるとし、飛まつ感染で感染するインフルエンザウイルスの吸入を防ぐためです。マスクの着用でウイルスの吸入を完全に予防できるわけではありませんが、マスクの種類についても、薬局やコンビニエンスストアなどで市販されている不織布(ふしょくふ)製マスクを推奨しています。これは、海外での予防対策にも応用できるので、鳥インフルエンザが発生した国に渡航する際には、マスクの持参がお薦めです。 さらに、同省では、日本に入国する際に、少しでも発熱やセキなどの体調異常を感じたら、検疫所の健康相談室などに申し出てほしいとしています。
鳥インフルエンザの流行についてMAP
(厚生労働省検疫所ホームページ「鳥インフルエンザの流行について」より引用)
海外のさまざまな感染症と予防について
日本では撲滅したもの、また、日本には存在しないものなど、世界には、さまざまな感染症が存在しています。感染源別にみると、「食べ物」「昆虫」「動物」「人間」などを介在して罹ります。感染源別に覚えておきたい主な病気と症状、予防をワンポイントで紹介しましょう(詳細は、後述のホームページで)。

○食べ物からうつる病気
最も多いのが、水や食べ物が原因となって罹る"食中毒"です。症状は、下痢や嘔吐です。予防は、なんといっても、生ものを口にしないことです。生で食べる果物も、むいてから時間のたったものには、表面に菌がついていることがあるので、要注意です。乳製品や卵食品も時間がたったものは避けましょう。一口食べて、違和感を感じたときは、無理して食べずに残しましょう。

○食べ物から生じる病気
病名 主な症状 予防と対策
食中毒 下痢 生ものを食べない。症状が現れたら、体力の消耗を最小限にして、自己判断せずに医師に判断を仰ぎます。
赤痢 血便、腹痛、発熱
コレラ 下痢(水のような便)、嘔吐
A型肝炎 倦怠感、黄疸 流行地へ行く場合、渡航前に予防接種ワクチンを

○昆虫からうつる病気
病名 媒介 流行地域 主な症状 予防
マラリア アフリカ、南米、東南アジアなどの亜熱帯・亜熱帯エリア 悪寒冷汗を伴う高熱で発病。
周期的発熱
夜間活動する蚊なので、夜間の屋外活動を避ける
デング熱 東南アジア、ベンガル湾沿岸、アラビア海、紅海沿岸など 突然の高熱
筋肉痛、関節痛が強い
都市部で昼間活動する蚊なので、防虫に注意を払う
日本脳炎 熱帯・温帯エリア(ブタのいる地域) 発熱、頭痛、嘔吐など。重症だと知的後遺症も 防虫に注意を払う
渡航前に予防接種ワクチンを
黄熱 アフリカと南アメリカの熱帯エリア(予防接種証明書が必要な国も) 高熱と黄疸で発病。
急激に重症化
渡航前に予防接種ワクチンを

○動物からうつる病気
病名 媒介動物 主な症状 予防
狂犬病 犬、猫、キツネ(ヨーロッパ)、アライグマ(アメリカ)、コウモリ(アメリカ) 発病すると麻痺を来たし、ほぼ100%死亡する 野生動物には手を出さない。 犬や猫をむやみになでない。
流行地に渡航する人は、予防接種ワクチンを

○人からうつる病気
人からうつる病気の感染経路としてあげられるのは、性行為、血液・体液との接触が主なものです。血液でうつる病気は1本の注射器を何人かで使いまわしただけで感染します。どんな形であれ、他人の血液・体液との接触は、絶対に避けましょう。

病名 感染経路 予防
性病 性行為 不特定の相手と性行為を行わない
AIDS 麻薬などの注射器
性行為
麻薬には手を出さない。注射器を使い回ししない
不特定の相手と性行為を行わない
コンドームを正しく使用する
B型肝炎 性行為
血液
患者の体液や血液に触れない
渡航前に予防接種ワクチンを

○皮膚から入る病気

病名 感染経路と症状 予防
住血吸虫症 水辺を素足で歩いたり、水のなかに入ったときに、セルカリアという幼虫が皮膚を食い破り体のなかに侵入し、感染します。かゆみを伴う皮膚炎になり、粘血便や下利便がみられます。東南アジア、アフリカ、南米、西アジアにみられます。 安全を確認できない川や湖沼では裸足で歩いたり泳いだりしない

感染症予防として渡航前にワクチン接種をしたい場合は、数回(2〜3回)接種を必要とする種類もあるため、3ヶ月ほど前から予定しないと間に合わないものもあります。 
海外渡航で検討する予防接種の種類の目安(厚生労働省検疫所ホームページより)
地域及び滞在期間








A


B










東アジア 短期
長期
東南アジア 短期
長期
南アジア 短期
長期
中近東 短期
長期
太平洋地域 短期
長期
オセアニア 短期
長期
北アフリカ 短期
長期
中央アフリカ 短期
長期
南アフリカ 短期
長期
北・西ヨーロッパ 短期
長期
東ヨーロッパ 短期
長期
南ヨーロッパ 短期
長期
ロシア 短期
長期
北アメリカ 短期
長期
中央アメリカ 短期
長期
南アメリカ 短期
長期
長期旅行は1ヶ月以上
● : 黄熱の予防接種証明書が国際的に要求されている地域
◎ : 予防接種を強く推奨
○ : 局地的な発生がある等、リスクがある場合に接種した方がよい
△ : 特殊な渡航でリスクがある場合に接種した方がよい

厚生労働省、厚生労働省検疫所や外務省では、鳥インフルエンザをはじめとする世界の感染症情報や、出発前の国内での相談窓口、また、現地で罹患したときに相談できる公的機関も併せて公開しています。
「備えあれば憂いなし」です。添乗員がいるパック旅行だとしても、こうした情報をチェックしておくことが、個人でできる「危機管理」のイロハではー。
【参考:麻疹についての情報】
外務省海外安全ホームページ
http://www.pubanzen.mofa.go.jp
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp
厚生労働省検疫所
http://www.forth.go.jp
(2008.12.26)
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