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トップページ最新医療情報 > 「脳卒中の死亡リスク」を人間関係から分析〜人間関係の支えが死亡リスクを軽減〜
「脳卒中の死亡リスク」を人間関係から分析
厚生労働省研究班は、2008年2月に全国規模で実施した「社会的な支えと循環器疾患の発症・死亡リスク」の調査結果をまとめて発表しました。これは、家族や友人の支えの有無が、循環器系の病気の発症や死亡リスクにどんな関係があるかを調べたものです。同研究班は、これまで食生活や運動などの生活習慣が病気に与える影響を研究してきましたが、今回、初めて人間関係という「心のふれあい」をテーマに、心と病気の関係を解析しています。「人はひとりでは生きていけない。支えあう家族や友人関係が大切」─そんなデータ結果が話題となっています。
「支えあう人間関係が重要」―約4万4000人の調査結果
同調査は、全国の40〜69歳までの男女、約4万4000人を平成5〜15(1993〜2003)年までの10年間にわたって追跡調査し、まとめたものです。
まず調査開始時に、周囲に心を支えてくれる人がいるかどうかをアンケート形式で尋ね、社会的な支えが多い人と少ない人を点数で分類しています。  

【質問と点数】
(1)心が落ち着き安心できる人の有無…無0点/有1点
(2)週1回以上話す友人の人数…無0点/1〜3人1点/4人以上2点
(3)行動や考えに賛成して支持してくれる人の有無…無0点/有1点
(4)秘密を打ち明けることのできる人の有無…無0点/有1点

社会的な指標としては、各回答の合計が最高の5点を「社会的な支えのとても多いグループ」、4点「多いグループ」、2〜3点を「普通のグループ」、1〜0点を「少ないグループ」の4グループに分類し、グループ別に、その後の脳卒中や心筋梗塞の発症リスクと回復状況を比較しています。追跡期間中、脳卒中を発症した人は1057人で死亡したのは327人です。心筋梗塞は301人が発症し、191人が死亡しました。脳卒中、心筋梗塞ともに発症リスクについては、社会的な支えが多いグループと少ないグループはほぼ同じで、発症と社会的な支えは関係がないという結果でした。明確な差がみられたのが、脳卒中の死亡リスクです。男女あわせたグループ全体でみると、「支えが少ないグループ」は「とても多いグループ」に比べて、死亡するリスクが1.5倍(図1参照)でした。男女別にみると、女性は「支えが少ないグループ」は「とても多いグループ」に比べて1.3倍(図2参照)ですが、男性は1.6倍にもなり、特に、男性は「支えが少ない」と死亡リスクが高くなりました。
社会的な支えは、脳卒中の疾病予防より、病後の回復にとって重要だということが認識されました。

PHC「社会的な支えと循環器疾患の発症・死亡リスクとの関連  ─概要─」より引用
PHC「社会的な支えと循環器疾患の発症・死亡リスクとの関連  ─概要─」より引用
※JPHC「社会的な支えと循環器疾患の発症・死亡リスクとの関連」より引用
同研究班は「欧米では、社会的な支えがないと心筋梗塞の発症や死亡リスクが高くなるという研究結果があり、孤独によるストレスなどの影響が指摘されています。これまで日本では、社会的な支えと循環器疾患の発症や死亡の関係を調べた報告はありませんでした。今回の調査で、脳卒中の回復には孤立しないよう支えてくれる身近な人の援助が大切であることが示されました」と言及しています。
病後の生活やリハビリなど身近に支えてくれる人がいれば、がんばることもできるでしょう。婚姻率の低下や核家族化、高齢者の一人暮らしが増加する時代に、改めて支えあう人間関係の大切さが問われます。
脳卒中予防には、果物の摂取を!
では、脳卒中の予防のために何を気をつければいいのでしょう。同研究班が、2007年10月に公表した「野菜・果物と全がん・循環器疾患罹患との関連について(45〜74歳の男女約8万人を10年間追跡調査)」から、脳卒中予防に関連するデータを紹介します。
この研究は、野菜や果物の摂取量と循環器疾患(脳卒中・心筋梗塞)の発症リスクについて調べたものです。調査期間中、循環器疾患になったのは1386人で、野菜の摂取量と発症の関係はみられませんでしたが、果物摂取量で発症リスクが異なることがわかりました。
1日当たりの果物摂取量を算出し、4つのグループに分けると、果物の摂取量が最も多いグループ(平均約280g)は、最も少ないグループ(平均35g)に比べて循環器疾患リスクが19%も低く、果物摂取量が158gと2番目に多いグループでも17%低く、果物を多くたべる人ほど、発症する人の割合が減る傾向がみられました。
果物には、食物繊維やカリウム、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれ、脳卒中を誘因する動脈硬化や高血圧などを予防するとみられています。
厚生労働省と農林水産省が1日の栄養摂取量の指針を示した「食事バランスガイド」では、果物の1日の摂取量の目標値を200gとしています。果物100gの目安は、バナナなら1本、みかん1個、りんご半分といわれています。
「脳卒中予防10カ条」から予防の心得
ほかに社団法人日本脳卒中協会では、「脳卒中予防10カ条」を掲げています。
1  手始めに 高血圧から 治しましょう
2  糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3  不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4  予防には タバコを止める 意志を持て
5  アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6  高すぎる コレステロールも 見逃すな
7  お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8  体力に 合った運動 続けよう
9  万病の 引き金になる 太りすぎ
10 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
【参考:脳卒中 関連ホームページ】
社団法人日本脳卒中協会
http://www.jsa-web.org/
農林水産省(食事バランスガイド)
http://www.maff.go.jp/
(2008.2.28)
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