家庭の医学
医学博士 トップページ お知らせ 最新医療情報 医療機関情報 医療関連サイト 健康図書 デジタル健康コンテンツ 時事通信出版局
トップページ最新医療情報 > 乳幼児の細菌性髄膜炎を予防する「Hibワクチン」の最新情報を! 
乳幼児の細菌性髄膜炎を予防する「Hibワクチン」の最新情報を! 
ヘモフィルスーインフルエンザ菌b型(Hib-ヒブ)による細菌性髄膜炎の予防ワクチン(Hib=ヒブ=ワクチン)が、昨年、12月19日に発売され、任意接種ながらも、日本国内でHibワクチンが接種できることになりました。ヘモフィルスーインフルエンザ菌b型は乳幼児がかかると死に至ることもある重篤な感染症で、てんかんや聴覚障害、言語障害、発育障害などの後遺症が残ることも多い怖い感染症です。初期症状が風邪などと似ているため医師でも診断がつきにくいことから、ワクチンが最も有効とされています。国外では、1998年にWHO(世界保健機関)が乳幼児へのHibワクチン接種を推奨したことから、100カ国以上の国で承認され、定期接種に指定している国が多数あります。日本では、日本小児科学会や日本小児保健協会、患者団体が厚生労働省に承認を求める活動を行い、ようやく、2007年に認められ、昨年末の発売となったわけです。医師、母親らに期待される「Hibワクチン」情報を──。
細菌性髄膜炎とは──
髄膜炎は、脳や脊髄を保護している髄膜(ずいまく)に細菌やウイルスが感染して発症します。細菌が原因の細菌性髄膜炎と、ウイルスなどが原因の無菌性髄膜炎等がありますが、細菌性髄膜炎は、乳幼児が罹患すると、重症になることが多く、予後の経過が悪ければ後遺症が残るなど怖い病気といわれてきました。
細菌性髄膜炎をおこす原因菌は、インフルエンザ菌b型のほかにも肺炎球菌、髄膜炎菌などがありますが、乳幼児の場合は、6割以上がインフルエンザ菌b型によるヒブ髄膜炎といわれています。
細菌性髄膜炎は、1981年にスタートした「感染症発生動向調査」(毎週、全国約500箇所の基幹定点が発生患者数を報告)の感染症定点把握疾患の一つです。調査方法が1981年のスタート時から若干変化しているので、長期的な発生状況の変化は定かではないものの、報告を受けた患者発生数は1999年4月から2001年12月の間に763例(1999年4〜12月235例、2000年256例、2001年272例)で、年代別にみると0歳29%、1〜4歳が29%で、5歳未満の乳幼児が約6割と半数以上を占めていることがわかります。こうしたデータからも、5歳未満の乳幼児がかかりやすく、ことに生後3ヶ月から2歳までは注意が必要な感染症といわれています。医療関係者の間では、年間約600人の乳幼児が罹患し、患者の5%が死亡し、約25%(4人に1人の割合)に後遺症が残ると推定されています。
ヒブ髄膜炎は、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに放出された菌を吸入することによって感染する飛まつ感染で、インフルエンザ菌b型は、健康な乳幼児の鼻や喉の粘液から検出されることもあります。多くは発症しませんが、風邪などで鼻や喉で炎症がおきたときに菌が血液に入り、髄膜を侵すと発症します。感染すると、発熱、頭痛、おう吐などの症状に見舞われ、意識障害や痙攣などを伴うこともあります。ことに、首の後ろ部分が硬くなる症状が特徴的ですが、やっかいなのが、初期症状は発熱など風邪に症状が似ているために、医師でも早期診断が難しい側面をもっていることです。残念ながら、気づいたときには重篤な症状になっているという不幸なケースもあります。診断は、痰などの分泌物や髄液を検査して、Hib菌の有無をみます。治療は抗生物質を投与して、菌を死滅させますが、最近は、耐性菌が増えるなどで抗生物質による治療の効果が得られないことも多く、ワクチン接種で、感染を予防することが最も効果的といわれています。海外では100カ国以上でワクチン接種は承認され、定期接種を実施している国も多数あります。実際に、イギリスやフランス、米国をはじめとする多くの国々では、ワクチン接種採用後に罹患率が著しく低下しました。
アメリカの罹患率
Hibワクチン「アクトヒブ(ActHIB)」の接種対象は生後2ヶ月から
今回、日本で承認されたHibワクチン「アクトヒブ」は、フランスのサノフィパスツール社で製造されたものです。接種対象は、生後2ヶ月以上5歳未満で、生後2ヶ月齢以上になれば、ワクチン接種ができます。
販売元の第一三共株式会社は、接種の望ましいスケジュールとして「初回免疫として生後2ヶ月から7ヶ月になるまでに接種を開始し、4〜8週間隔で3回接種し、追加免疫として3回目の接種から約1年後に1回の計4回接種」としています。そして、このスケジュール通りに「4回接種をした人のほぼ100%に抗体(免疫)ができ、Hib感染症に対する高い予防効果が認められる」としています。この年齢で接種が開始できなかった場合は、接種回数が若干異なります。

<接種年齢別スケジュール>
○標準的なスケジュールは、接種年齢が生後2ヶ月から7ヶ月
初回免疫は3回、4〜8週間間隔で、追加免疫として3回目の接種から約1年後に接種します。
○接種開始齢が、7ヶ月から12ヶ月の未満の場合
初回免疫は通常2回、4〜8週間間隔で、医師が必要と認めた場合には3週間間隔で接種することができます。追加免疫は、初回免疫後おおむね1年の間隔をおいて接種します。
○接種開始齢が1歳以上5歳未満の場合
通常、1回接種します。
接種年齢別スケジュール
また、アクトヒブの副反応については、国内で122例合計482回接種した臨床試験をもとにした結果が同ワクチンの説明書に記載されています。これによると、接種後にみられた副作用は、接種部位の発赤(44.2%)・腫脹(18.7%)・硬結(17.8%)発熱(2.5%)、不機嫌(14.7%)です。
まれに、ワクチン接種は、重大な副作用が生じることもあります。こうした副作用や効果を含め、Hibワクチンを推奨する全国の小児科医療機関では、ホームページなどでアクトヒブの情報を発信しています。参考になさってみてはいかがでしょう。
ワクチン接種の費用ですが、自費のため、1回当たり7000円〜8000円といわれています。標準スケジュールで接種した場合、4回接種となるので、乳幼児を抱える夫婦の年齢を考えるとかなりの負担額になります。患者数は少なくても、"感染すると命までも脅かされる怖い感染症であること"、"予防接種が最も効果的である"という点から、助成金の補助を決定した自治体もあります。いち早く、補助を表明した鹿児島市はじめ、東京都でも、品川区や荒川区が4月から助成する準備を進めています。今後も、追随する市町村の動きが期待されます。
 Hibワクチンについて、また、接種できる医療機関などについては、住居地区の保健所や小児科医師会などへお問い合わせください。
(2009.3.19)
【参考】
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp
国立感染症研究所感染症情報センター http://idsc.nih.go.jp
医療法人小泉重田小児科 http://www.koizumi-shigeta.or.jp/
▲ページトップ