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「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の上手な利用法
高齢化社会とともに、年々増加する医療費が社会問題となっています。平成20年(2008)8月末に厚生労働省が公表した平成18年(2006)度の国民医療費は33兆1276億円(一人当たり約26万円)で、平成17年度(2005)より約13億円減り、増加傾向にある医療費がわずかながらも下回りました。同省では、医療費の増加を抑えるために、診療報酬の改正など多様な対策を講じていますが、その一つが「ジェネリック医薬品(Generic drug=後発医薬品)の普及活動です。近年、テレビなどで「ジェネリック医薬品」という言葉はよく耳にしますが、病気にならないと接する機会がなく、一般的にはまだまだ知られていないのが実情です。普及に力を入れる厚生労働省では、平成20年度から、医療機関の処方箋の記載方法を再改訂するなどして使用促進をバックアップしています。患者にとっては、安く利用できるのが「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の魅力といえます。ジェネリック医薬品と上手な利用法について紹介しましょう。
「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」とは?
現在、医療機関で処方される医薬品は先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)の2種類があります。先発医薬品とは、新しく開発された、いわゆる「新薬」と呼ばれるものです。新薬開発には資金と時間がかかるため、新薬が承認されると開発企業が特許を取得して、独占的に製造販売を行います。特許権は出願から20年間(最大5年の延長)有効で、通常、新薬の開発企業は特許権の存続期間に、新薬開発に投資した資金を回収し、新たな新薬開発の研究費に投入します。この特許権の存続期間が終了すると、他の企業も先発医薬品と同じ成分の医薬品を製造販売できるようになります。これを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」と言います。ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、新薬のように開発に巨額の資金がかからないことから、より安く提供できるわけです。
とはいえ、他の企業が後発医薬品の承認を受けるためには、先発医薬品と後発医薬品を投与して有効成分が血液内に吸収される量と速度を測定する「生物学同等性試験」を行うなど、両群に同等の効果があることの証明が必要とされます。また薬によっては、発売後も、一定の水準が保たれているかどうかを調べる「品質再評価」も行われています。 こうした事情をふまえ、厚生労働省では、ジェネリック医薬品(後発医薬品)について「先発医薬品の特許が切れたあとに販売される先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果をもつ医薬品」と位置づけ、3つのポイントを示しています。
ジェネリック医薬品の3つのポイント
ジェネリック医薬品普及のために、平成20年4月から処方箋を再改訂
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分、同じ効能・効果がある医薬品ですが、主成分以外の添加物や製法が先発医薬品と異なるため、品質に不安を抱く医師や患者もいます。かつては、特許権が切れた後に他の製薬会社からゾロゾロとたくさん出てきたため「ゾロ薬」と呼ばれていた時期もあり、先発医薬品に比べて情報が少なく、投薬経験がないことから効果がわからないため、使用を控える医師もいました。 しかし患者にとっては、効き目や安全性が先発医薬品と同じで自己負担が減るのであれば、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の利用も、選択肢の一つといえます。普及に努める厚生労働省は、処方箋の様式を改訂するなどして、ジェネリック医薬品を利用しやすい環境を整えています。かつては、処方医がジェネリック医薬品を処方する時は、ジェネリックの商品名や成分名を処方箋に書くことが必要でしたが、平成18年(2006)に、処方医の署名があれば、処方箋に先発医薬品が書かれていても、薬局でジェネリックに替えることができるように改訂しました。さらに、先発医薬品からジェネリック医薬品への切り替えをより進めるため、平成20年4月、再度改訂を実施して、医師がジェネリック医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合にのみ、その意思表示として、処方箋の所定欄に署名、または、記名・押印することとしました。 また、保険薬剤師も、患者に対してジェネリック医薬品に関する説明を適切に行い、ジェネリック医薬品を調剤するよう努めなければならないこととしました。分割調剤についても、4月以前は、保存が悪く一括して調合できない薬についてのみ、分割調剤すると薬局に保険点数がつきましたが、患者の同意のもと、ジェネリック医薬品を一定期間、試しに使う分割調剤にも適応することにしました。これによって、薬剤師もジェネリック医薬品の使用について悩んでいる患者の相談に応じやすくなりました。患者にとっても、一定期間、ジェネリック医薬品を試しに服用してみて、効果が納得できれば、ジェネリック医薬品に切り替えることで、自己負担が軽減できます。

今回の再改訂は、調剤薬局で薬を処方してもらう「院外処方」には有効ですが、病院で薬を処方する「院内処方」では、患者がジェネリック医薬品を希望する場合には、患者が医師にその旨を告げることが必要です。また、欧米に比べて日本でジェネリック医薬品の普及が遅れている要因として情報不足が指摘されています。厚生労働省保険局医療課は「正確な情報を伝える普及活動への取り組みも今後の課題の一つ」としています。
平成24年(2012)度までに、シェア30%以上の目標
現在、保険診療に使用されている医療用医薬品は、先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)を合わせて、1万4000ほどあります。厚生労働省は、平成19年(2007)に策定した「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の安心使用促進アクションプログラム」で、平成24年(2012)までに後発医薬品のシェア(数量ベース)を30%以上にするという目標を掲げました。日本ジェネリック製薬協会の協力を得て実施状況についてのリサーチなども行い、普及を後押ししています。
患者にとっては、ジェネリック医薬品の利用は経済的な負担の軽減になりますが、その一方で、なじみの少ないジェネリック医薬品に変更することへの不安もあります。変更してみたものの、薬によっては"自己負担額があまり変わらない" "外用薬のチューブの素材が違って使いにくい" "効き目が感じられない"といった声も聞かれます。まずは、正しい知識を得ることが、賢い利用法の第一歩です。
厚生労働省の外郭団体・独立行政法人医薬品医療機器総合機構の電話による「くすり相談窓口」では、平成19年(2007)から、ジェネリック医薬品の品質、有効性と安全性などについての質問も受け付けるようになりました。また、日本ジェネリック製薬協会では、ジェネリック医薬品についてホームページで紹介するとともに、ジェネリック医薬品の品質再評価の経過や結果を掲載した「オレンジブック総合版」もネットで公開しています。
また、日本保険薬局協会は、「薬は選択する時代。ジェネリック医薬品を使いたいと思った場合は、医師や薬剤師に相談しましょう」と提言しています。
【参考:ジェネリック医薬品(後発医薬品)】
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
日本保険薬局協会
http://www.nippon-pa.org/
日本ジェネリック製薬協会
http://www.jga.gr.jp/
かんじゃさんの薬箱
http://www.generic.gr.jp/
独立行政法人医薬品医療機器総合機構・「くすり相談窓口」(電話での相談のみ受け付けています)
03-3506-9457(月曜日〜金曜日 9時〜17時・祝日、年末年始を除く)
(2008.10.28)
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