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熱中症
熱中症の発生は、気温だけでなく、湿度、風速、輻射熱(直射日光)が関係します。
日本体育協会は、運動時の熱中症対策として、WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature・湿球黒球温度)から割り出した指標を目安にして、指導しています。このWBGT(湿球黒球温度)は、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します(表1参照)。
日本気象協会が提供する「熱中症予防情報(表2)」(6月1日から9月30日)も、WBGT(湿球黒球温度)の指標を解析データの一つとして使用しています。この指標に、予想される気象条件、過去の熱中症発生条件数の事例などを加味して、熱中症発生の危険度を「ほぼ安全」「注意」「警戒」「厳重警戒」の4段階にわけ、注意を促しています。
こうした指針や情報から、熱中症は、気温の高さばかりでなく、
(1)高温多湿で汗が蒸発しにくい
(2)風が弱く身体の熱が逃げにくい
(3)直射日光を受け、体温が上昇する
などの条件が整うと、発生しやすくなることがわかります。従って、気候条件が揃えば、戸外ばかりでなく、屋内や車内でも十分発生の危険があります。
表1【 日本体育協会 熱中症予防のための運動指針】より
※WBGT(湿球黒球温度)の算出方法
 屋外:WBGT= 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
 屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
気温(参考) WBGT温度 熱中症予防のための運動指針
35℃以上 31℃以上 運動は
原則中止
WBGT温度が31℃以上では、皮膚温より気温の方が高くなる。
特別の場合以外は、運動は中止する。
31〜35℃ 28〜31℃ 厳重警戒 熱中症の危険が高いので激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合には積極的に休息をとり水分補給を行う。
体力が低いもの、暑さに慣れていないものは運動中止。
28〜31℃ 25〜28℃ 警戒 熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり、水分を補給する。
激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。
24〜28℃ 21〜25℃ 注意 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に積極的に水を飲む
ようにする。
24℃まで 21℃まで ほぼ安全 通常は熱中症の危険性は小さいが、適宜水分の補給は必要である。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。
表2【 日本気象協会の熱中症予防情報の詳細】〜危険度ランクとWBGT
情報発表時刻 5時25分、6時、12時、16時35分、18時の1日5回発表
情報提供地点 全国約850地点
情報内容 ランク WBGT(℃)
ほぼ安全=熱中症の発生はほとんどないと予想される 21
注意=少数だが、熱中症の発生が予想される 25
警戒=熱中症の発生が多くなると予想される 28
厳重警戒=発生が極めて多くなると予想される 31
※東京の場合では、「安全」は熱中症患者の発生数がほぼ0と予想される日であり、同様に「注意」は患者発生が3人程度、「警戒」は4〜9人、「厳重警戒」は10人以上の熱中症患者の発生が予想される気象条件に相当します。
表3【 日本気象協会 熱中症のランク】
ランク WBGT(℃) 対応
屋外での運動は極力さける。
炎天下にいる時間を短くする。
熱中症になった時の応急処置は、日陰など風通しのよい涼しい場所に移動する。
屋外にでる時は頭が直接日光に当たらないように帽子をかぶる。
激しい運動をする場合は、こまめに休息をとり水分を補給する。
外を歩いていて、頭痛や吐き気、ふらふらするなどの熱中症の前兆を感じたら、涼しい場所で休む。
体重の3%の水分が失われると体温調節能力が低下するので、体重の減少が2%を越えないように水分補給する。
高齢者や乳幼児は、知らないうちに熱中症になっていることも多く特に注意が必要。
運動をする場合、水分とともに塩分も十分にとる。
服装は吸湿性や通気性のよい素材で、色も熱を吸収しない白色系にするとよい。
飲酒や疲労、睡眠不足が熱中症のきっかけとなるので注意が必要。
日常生活では、熱中症の危険はほとんどない。
激しい運動(マラソンなど)では熱中症の恐れがある。
水分の補給を適宜行う。
厚生労働省の「熱中症による死亡災害発生状況」では、平成16年度の就労中における熱中症の死亡者は17人です。それぞれの死亡の原因には、現場での熱中症予防の教育の不備、応急処置の不備などの複数の条件があげられています。なかでも、半数以上の11人の死亡原因にあげられているのが、塩分や水分の不備、あるいは塩分・水分の補給指導が不十分という項目です。
人間の身体の60%は水分だといわれていますが、体重の2%の水分が失われると、脱水状態になり、のどの渇きを激しく感じます。3%の水分が失われると、運動能力や体温調節機能が低下します。また、4%で頭痛、めまいを覚えます。6%で、汗が止まり、体温が上昇し始め、危険な状態に陥ります。
体重の2%以上の水分を減らさないために、重労働の作業、また、ゴルフ、テニス、ウォーキングなどの運動前後に体重を計るとよいでしょう。汗などで失った水分量がわかります。
体重減少が2%を超えないように、早め早めの水分補給をしましょう。汗と一緒に、塩分も失われているので、0.1〜0.2%ぐらいの食塩と5%ぐらいの糖分を含んだものを摂りましょう。
市販の飲料の場合、成分表示の100ml中、ナトリウムの量が40〜80mgが、0.1〜0.2%の塩分に相当します。
どんな運動をしたとき、どのくらいの水分補給が必要かは、日本体育協会の「運動強度と水分補給のめやす」を参考にしてください。
運動強度と水分補給のめやす
運動強度 水分補給量のめやす
運動の種類 運動強度 持続時間 競技前 競技中
トラック競技
バスケット
サッカーなど
75〜100% 1時間以内 250〜550ml 500〜1000ml
マラソン
野球など
50〜90% 1〜3時間 250〜550ml 500〜1000ml
(1時間ごとに)
ウルトラマラソン
トライアスロン
など
30〜70% 3時間以上 250〜550ml 500〜1000ml
(1時間ごとに必ず塩分を補給)
注意
1. 温度条件によって変化しますが、発汗による体重減少の70〜80%の補給を目標とします。
2. 気温のとくに高いときには15〜30分ごとに飲水休憩をとることによって、体温の上昇がいくぶん抑えられます。
3. 水温は5〜15℃が理想的です。
4.口当たりがよく飲みやすいものを飲みましょう。0.1〜0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を含んだものが適当です。
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