時事通信出版局

つぶやく編集者

「流しの公務員」仕事の流儀①

COLUMN vol.4

警察記者をしていた時、「夜まわり」に毎晩でかけました。刑事さんの家の前に行って、家の近くで帰ってくるのを夜中、時には未明までひたすら待つ。他社も待っていますが、自分の姿は見せたくありません。それぞれ物陰に隠れて待っています。

「ぼくは他社の記者が、はるかかなたの電信柱の後ろに立っていて、体の一部が見えただけでもどこの社か分かります」
後輩が言っていました。記者にはその社の社風が染み込んでいて、シルエットだけでもそれが分かるのだといいます。本当かなあ…。

後輩の話はマユツバかもしれませんが、職業や所属する組織は、そこに属する人を染め上げます。パーティー会場でたくさんいる人の中で、公務員とか、ジャーナリストとか、銀行マンとか雰囲気で分かることがあります。政治家はとても見分けやすい。

「彼は○○社らしくない」は賛辞のことが多い。逆に言えば「○○らしい」というのは、その人が枠にはめられたステレオタイプの人材だという侮蔑を含んでいる。「教師っぽい」「役人っぽい」というのもネガティブ表現かもしれません。

組織の色に染まらずに、組織の中でいい仕事ができたらかっこいい。そんな人に出会い、本を書いてもらいました。『流しの公務員の冒険』。著者は山田朝夫さんです。山田さんはキャリア官僚として自治省(現在の総務省)に入りました。霞が関の仕事に飽き足らず、現場を求めました。キャリアでは初めて町の一般職になり、以後、「腕一本で問題を解決する行政の職人」として各地を渡り歩いてきました。(vol.5につづく

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