【教育・一般ニュース】未解決だった数学の超難問「ABC予想」を証明したとする京都大数理解析研究所の望月新一教授(51)の論文について、京大は3日、同研究所の学術誌「PRIMS」への掲載が決まったと発表した。ABC予想は解決に約350年かかった「フェルマーの最終定理」などに匹敵する難問とされる。論文は約8年前に投稿され、内容に間違いがないか専門家による審査が続けられていた。
ABC予想は整数A、Bとこれらの和のCを考えた時、それぞれの素因数の積との間に生じる特別な関係を示したもの。1985年にフランスとスイスの数学者によって提起され、証明できれば数多くの有名な予想や定理が直ちに導き出せるため、「重要かつ困難な未解決問題」とされていた。
望月教授は論文で「宇宙際(うちゅうさい)タイヒミューラー理論」という独自の理論を展開。この理論に基づく帰結の一つとして、ABC予想の解決に至ったとし、研究開始から証明の完成まで約20年を要したという。
望月教授は2012年8月にPRIMSに論文を投稿し、インターネット上でも公表。前提となる概念などの説明も含んだ4編は計約600ページに上った。同研究所の玉川安騎男教授は3日の記者会見で「全く新しい斬新な理論を作って証明した。整数論の範囲で非常に大きなインパクトを持っている」と述べた。
PRIMSでは、編集委員長の望月教授が外れ、共同編集委員長となった玉川教授らが専門家に審査を依頼していた。今年2月5日付で受理され、特別号に掲載される予定という。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040300700&g=soc
- ※ 「ABC予想」を証明したとする京都大の望月新一教授の論文の一部=3日