2023.01.13

採用試験関連

東京都 「教員確保策充実の方向性について」として、大学3年次での前倒し受験等を提示

東京都教育委員会は1月12日、一層の教員確保を図るために、教員採用選考応募人員の増加策や教員の支援体制、外部人材の活用などの充実を目指す「教員確保策充実の方向性について」を公表した。
この中で、採用選考の応募人員の増加策として、採用試験の一部を大学3年次に受験可能とする案や、社会人特例選考の年齢要件の緩和、途中退職をした東京都の教員経験者について試験の一部免除などの取組案などを示している。

東京都では、大量退職や35人学級の進行による大量採用により既卒者層が順次合格していったことにより、受験者数の減少が続いている。また、臨時的任用教員の候補者も減少し、年度途中に欠員が生じた場合の代替教員の確保も難しい状況で、令和8年度(2026年度)採用以降は35人学級の完成等により受験倍率が底を打つ見込みとしている。その一方で、新規採用者の約4%が採用後1年以内に退職するケースや、毎年1%程度の教員が精神疾患により休職する状況、また産休や育休などに伴う代替教職員の手当、教員の時間外労働の改善などといったさまざまな課題があることから、課題を打開しつつ教員を確実に確保していくために、従来の取組みに加えて「増やす取組(応募人員の増加)」「減らさない取組(教員支援体制の充実)」「外部人材のさらなる活用」の観点から対策の強化を目指すとしている。

増やす取組にあたる「応募人員の増加」では、令和4年度(2022年度)はマイページによるプッシュ型広報や、転職サイト・就活サイトの活用、「TOKYO教育Festa!」の実施などで幅広い受験者層掘り起こしに向けた対策を強化してきたが、令和5年度(2023年度)は多様な層が東京の教員を目指しやすい仕組みへと転換する。具体的には、採用試験の一部を大学3年次に受験可能とすることで採用選考に係る負担を軽減する「大学3年一部前倒し受験」や、民間企業の内定式(10月1日〜)より早く合格発表を行うことで、民間内定者の受験機会を確保することを目的とした「合格発表の前倒し(10月中旬から9月中に発表)」、社会人特例選考の対象年齢を40歳以上から25歳以上に引き下げて免許取得の期間延長対象者を拡大する「社会人特例選考の年齢要件緩和」、途中退職をした東京都公立学校教員経験者について、10年以内に復帰する際に1次試験を免除する「カムバック採用の新設」などがあげられている。

また、減らさない取組にあたる「教員支援体制の充実」では、メンタルヘルスサポートや安心して働ける職場環境に向けたサポートを強化する。具体的には、新人等へのメンタルヘルスサポートの拡充や、定年退職後の教員による新人サポートの強化、職員室の環境改善等を進めるほか、産休・育業代替教員の前倒し任用についても、国の方針を踏まえながら対応を検討する。「外部人材のさらなる活用」では、区市町村からのニーズが高く、効果的な取組の拡大を検討していく。具体的には、小・中学校に1校1名規模のスクール・サポート・スタッフの配置や、小学校の副担任業務を担うエデュケーション・アシスタント、副校長補佐の配置等を進める。また「社会の力活用事業」の実施の一環として、外国語や体育などで専門性の高い人材が授業を行うなど、地域人材等の積極的な活用により教員の負担軽減を図りつつ、本来業務に注力できるように支援していく。

なお、令和5年度(2023年度)東京都公立学校教員採用候補者選考(6年度採用)の実施要綱については3月下旬に発表予定で、今回発表した取組案については、現在予算要求中としている。



東京都教育委員会(報道発表資料)教員確保策充実の方向性について
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2023/release20230112_02.html

東京都教育委員会(報道発表資料)教員確保策充実の方向性について・別紙(PDF)
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2023/files/release20230112_02/bessi.pdf