2018.12.12

【特別企画】教員へのもう一つの道 「私立学校の教員」という選択

未来ある子供たちと向き合う学校教育の担い手は,公立学校の教員だけではありません。全国で約141万人いる教員のうち,およそ39万人は私立学校に勤務しています(平成30年版文部科学統計要覧)。「教員になりたい」と考えたとき,「教員=公立学校」と決めつけてしまうのは選択肢を狭めることになるのです。では,どうしたら私立学校の教員になれるのでしょうか。公立学校とは異なる私立学校の教員採用方法や採用情報の探し方,私立学校の教員を目指す人をサポートする取り組みについて解説します。
(取材協力:イー・スタッフ)

私立学校の教員への道

採用のシステム

 公立学校の場合、各自治体が教員をまとめて採用します。これが毎年、夏から秋にかけて各自治体で一斉に行われる教員採用試験です。合格者は地方公務員として自治体に雇用され、各学校に配属されます。
 一方、私立学校の教員は「各学校」で採用されます。求人情報は各学校が必要に応じて公表し、選考試験も各学校において「求める教師像」にあわせて適宜行われます。私立学校の教員を目指す場合、まずは各学校の求人情報の収集を行い、希望する学校に応募(エントリー)することになります。
 なお、私立学校の教員の雇用形態には、公立学校の教員と同様、正規教員(私学では「専任教諭」と呼ぶ)と常勤講師、非常勤講師があり、形態により求人情報が増える時期は異なります。私立学校の教員採用の大まかなスケジュールは下のようになります。

採用試験の内容

 私立学校における採用試験でも、公立学校の教員採用試験と同様、筆記試験(専門教科、教職教養など)、面接試験、模擬授業などが課されます。私立学校の場合、多くの学校で最初に書類選考が行われ、その通過者のみが次の選考に臨むことができます。筆記試験は各学校において独自に作成されるため、難易度は学校によって異なりますが、基本的な対策方法は公立学校の教員採用試験と大きく変わることはありません。私立学校の採用試験ならではのポイントは、希望する学校の「建学の精神」を理解することにあると言えます。
 「建学の精神」とは、簡単に言えば、その学校がどんな目的を掲げ、どんな人物の育成を目指して設立されたのかを示すものです。私立学校のすべての教育活動は、「建学の精神」を基盤としていますから、当然、その学校の教育活動を担う教員には「建学の精神」への理解が求められるのです。
 私立学校には原則として異動がありません。専任教諭として採用されれば、数十年、同じ学校で働き続けることも可能になります。つまり、自身のキャリア形式を計画的に行う事でライフプランの形成がしやすくなるのです。だからこそ、私立学校の採用試験を受けるに際しては、「建学の精神」を始め校風や教育方針などをしっかり調べ、「建学の精神」で結びついたチームの一員としてその学校の教育を支えていくことができるかを、よく見極める必要があるのです。

求人情報の探し方

 私立学校教員になるには、まずは採用のある学校を探さなくてはなりません。主な方法としては、①各学校の求人に個別に募集する ②私学教員適性検査を利用する ③「就職エージェント」を活用する、という3つが挙げられます。

①各学校の求人に個別に応募する

 希望する学校のホームページを定期的に確認したり、大学にきた求人や「日本私立学校教育研究所」のホームページにある「教職員募集情報」をチェックしたりすることが挙げられます。母校など志望する学校が決まっている場合は別として、定期的に多くの学校のホームページを確認するのは、結構な手間になります。また、教員の不足を示す「教職員募集」の情報は、保護者等も閲覧するホームページには掲載しない学校もあります。

② 私学教員適性検査を利用する

 高等学校の免許取得者(見込み者)の場合、私立中学高等学校協会が行う私学教員適性検査を活用する方法もあります。毎年8月に実施される同検査を受検すると、検査成績等の名簿が実施自治体※の私立中学高等学校長に配布されます。名簿を参考に学校は受検者に連絡を取り、採用試験を行います。受検しても学校から連絡が来ないことも多くありますが、求人への応募に際し、同検査の受検を義務付けている学校や、その成績を評価の対象としている学校もあります。

※ 実施自治体:東京、静岡、愛知、兵庫、広島、福岡、長崎(独自実施:群馬)

③「就職エージェント」を活用する

 一般企業への就職活動をサポートする就職エージェントがあるように、教員への道をサポートする「教員版」もあります。登録は無料で、効率的に求人情報を集めることができます。エージェントにより、情報提供の方法や受けられるサポートには違いがあるため、自分に合ったサービスを選択することが大切になります。

教員の就職活動サポートに特化した「イー・スタッフ」

教員志望者と学校を結ぶ就職エージェントの一つである「イー・スタッフ」では、登録者に対し求人情報を一方的に提供するのではなく、一人ひとりの能力や希望・特性に応じた学校を見つける「マッチング」を重視しています。

【登録の流れ】

①オンライン登録
②個別面談(経験や勤務条件等の確認)
③仕事のご案内
 個別面談は専門のコーディネーターによって行われます。「イー・スタッフ」を通して求人に応募をする場合には、応募書類の添削や面接、模擬授業の相談など、採用に至るまできめ細やかなサポートが受けられます。他にも、登録者を対象とした履歴書や面接などの採用対策など、多様なセミナーで採用決定までをサポートします。

即戦力人材を育成する ―トップネット私学教員養成所―

 登録者の「採用」に向けたさまざまなサポートを行っている「イー・スタッフ」では、2000年より「4月から私立学校で即戦力として働ける教員を育成する」ことを目的とした「トップネット私学教員養成所」の運営も続けています。本プログラムは、経済産業省主催の「第8回 キャリア教育アワード」において優秀賞を受賞しており、研修の修了生に対し、特別採用枠を設ける学校も増えてきています。
 トップネットの研修は東京と大阪の2ヵ所で実施されており、対象は私学の教員を志望する大学4年生又は大学院2年生が中心です。研修は無料ですが、研修生になるには独自に行われる選考試験の通過と「イー・スタッフ」への登録が必要となります。

【トップネット研修生 選抜方法】

12月 説明会実施
①Webサイト ②大学掲示板 ③口コミの順で「トップネット」を知り、説明会にエントリーをします。

選考試験実施(順次)
①学科試験(取得〈見込み〉免許によります。免許、資格取得の状況によっては実施しない場合もあります)
②適性検査(「e マッチング」)を受検
③面接試験(スタッフが対面し、人物・意欲を確認していきます)
 ◎研修生になるには「イー・スタッフ」への登録が必要
 ◎定員は東京・大阪、各40〜50名程度

3月 研修スタート
私立学校で働きたいという志をもった研修生が中心です。
研修期間での研修生との関わりを通じて、より深く、かつ多面的に研修生の人物を把握し, その後の支援につなげていきます。

【トップネット研修内容】

①学校訪問(3月〜6月ごろ)
 協力校を訪問。学校説明や授業見学を通して私立学校への理解を深めます。
②教育実習前講座(4月〜5月)
 社会人マナーから授業まで、教育実習前に知っておくべきポイントを学びます。
③採用試験対策講座(5月)
 私立学校の担当者を招いた模擬面接など、採用試験への対策も行われます。
④夏期集中講座(8月)
 トップネット研修のメインとなる6日間の集中講座。期間中、合計18時間の授業研修(本物の教室・黒板〈電子黒板〉を使用)を実施。私立学校の管理職経験者による講演やワークショップ、現役教員である研修OB・OGが駆けつけての座談会なども行われます。

◎2018年度研修生からのコメント◎

●同じ目標をもった研修生と切磋琢磨できる空間は、とても貴重で、かけがえのない時間だったと感じています。
トップネットで得たものをずっと大切にしていきたいです。

●学校訪問など1人ではできないことや、大学では学べないこと、対策できない内容もトップネットで経験することができ、大きな財産になりました。

●トップネットで得るものすべてが糧になるので,これから研修を受ける人たちは、決して手を抜かずに取り組んでほしいと思います。

私立学校の教員への道を徹底サポート 「イー・スタッフ」&「トップネット私学教員養成所」

就職エージェント「イー・スタッフ」の登録や「トップネット私学教員養成所」説明会の詳細はそれぞれのホームページをご確認ください。

イー・スタッフ https://www.e-staff.jp/

トップネット https://www.e-staff.jp/topnet19