【教育ニュース】2025年度公立学校教員採用試験(24年度実施)を巡り、時事通信は47都道府県と20政令市の教育委員会、大阪府豊能地区教職員人事協議会の計68団体を対象にアンケートを実施した。
回答結果によると、14県市が受験者の増加に向けて1次試験日を23年度より前倒しする方針だ。53団体は「検討中」としたが、2割以上の自治体が前倒しを明らかにしたことで、全体的に一定程度の早期化が進むとみられる。
ただ、「受験者の減少は教員の多忙化など別の要因が大きい」(香川県)などとして、教員の定数改善や働き方改革を国に求める意見も相次いだ。
各地の1次試験は例年、企業や地方公務員の採用試験より遅い6月中旬~7月下旬ごろに実施。企業の採用活動早期化も影響し、教員志願者は減少、競争倍率も下がる傾向にある。そこで文部科学省は5月、24年度実施の1次試験について、6月16日を「標準日」としてできるだけ前倒しするなどの対策を示した。教員不足が深刻化する中、受験者数を増やし、質の高い人材を確保する狙いがある。
アンケートは6月14、15両日に送付し、7月10日までに全団体から回答を得た。静岡県と静岡、浜松両市は24年度の試験を23年度より約1カ月半早い5月11、12両日に行う予定。鳥取県は標準日より1週間程度早い実施を見込む。佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島、沖縄6県は「標準日に実施」、青森、山形、茨城3県と北九州市は「従来より前倒し」と答えた。
一方、23年度の試験を7月21、22両日に行う愛媛県は他県との競合を避けるため、「従来の日程で実施」と回答した。
この他、東京都や石川県、北九州市など11都県市は大学3年次から試験を受けられるようにし、受験機会を増やす予定だ。
試験の早期化については「学生が先に企業などに就職先を決めてしまう事態を防げる」(大阪府)といった期待が寄せられた。一方で「受験者が増えても、辞退者も増える恐れがある」(熊本県)など、効果を疑問視する声も目立った。国への要望では「長時間労働に対する業務量の適正化や処遇改善」(高知県)など、働きやすい環境の整備を求める意見が多かった。
14県市が試験日前倒し 志願者増へ早期化―25年度教員採用・時事通信調べ(時事ドットコム)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023072000692&g=soc