2018.12.25
教育原理の中で、もっとも出題が多かったのは、小・中の平成29年版学習指導要領(以下「新学習指導要領」)の31.3%です(巻頭カラー「出るとこグラフ」参照)。新学習指導要領は、いくつかの「章」で成り立ちますが、そのうち「第1章 総則」からの出題が最多。また、総則をさらに細かく見ていくと、「第1 小学校(中学校)教育の基本と教育課程の役割」(出題数12)、「第4 児童(生徒)発達の支援」(同10)の出題が目立ちました。総則は全般的によく頭に入れ、頻出の箇所を特に重点的にカバーしておくようにしましょう。
また、「総則」以外では、「特別の教科 道徳」と「特別活動」の出題が、多く見られます。これらも確実に押さえておくようにしましょう。
新学習指導要領の出題が目立つ一方で、平成20・21年版(現行)学習指導要領の出題は10.7%にとどまりました(前述「出るとこグラフ」)。出題数は計19で、うち11は、高校の「総則」が占めました。新学習指導要領の実施スケジュールは、図の通りで、高校の新学習指導要領は、2018年3月に告示されたため、2018年夏の試験では現行学習指導要領からの出題が多く見られましたが、今後の出題は減っていくと予想されます。
編集部としては、2019年夏実施試験に向けては、学習指導要領は平成29・30年版を重視していくことをお勧めします。
新学習指導要領に次いで出題が多かったのは「特別支援教育」で、教育原理のうち20.2%を占めました(巻頭カラー参照)。特別支援教育は、その基本的な考え方(インクルーシブ教育等)や、対象となる児童生徒、関連する法規・資料など、幅広い範囲から出題されます。
押さえておきたいポイントは、以下の通りです(本誌2018年1月号も参照)。
① 特別支援教育の考え方⇒「インクルーシブ教育」で障害のあるなしに関わらず共に学ぶ。
② 障害のある児童生徒の就学先⇒特別支援学校、特別支援学級、通常学級(通級による指導)のいずれか。
③ 就学先の決定方法⇒本人・保護者との合意形成を経て、最終的には市町村教育委員会が決定する。
④ 発達障害の種類・定義⇒自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害など。
⑤ 学校における特別支援教育の支援体制⇒校長が指名する「特別支援教育コーディネーター」を中心に推進する。
また、一人一人のニーズに合わせ「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」を作成し、これに基づき実施する。
3番目に出題が多いのが、「学習指導」と「人権教育」で、ともに11.2%(巻頭カラー参照)。うち、人権教育は自治体によって、毎年出すところとまったく出さないところに分かれるので、志望自治体の傾向を確認しておきましょう。学習指導で定番なのは、「教授―学習理論」です。どの自治体でも出題の可能性がある基本知識であり、ここで得点できないと、ライバルと差が広がってしまう可能性があるため、確実に得点できるようにしておきましょう。