2018.12.25

試験に出る教育法規 スッキリ解説! 第5回・学校教育法施行規則

法律用語のモヤモヤにはワケがある! 試験に出る教育法規 スッキリ解説!

難解な教育法規の用語には「訳」がある!
なぜ、そんなモヤモヤする「言い方」をしているのか、分かりやすく解説します!

学校教育法施行規則 施行:1947(昭和22)年 最終改訂:2018(平成30)年 

学校教育法施行規則は、文部科学大臣が、学校教育に関する行政事務について、学校教育法もしくは学校教育法施行令を実施するために定め、又は学校教育法もしくは学校教育法施行令の特別の委任に基づいて定める省令です。学校教育を円滑に実施する上で重要な役割を果たしている文部科学省令です。

懲戒

スッキリ解説 1

学校教育法第11条に定める懲戒は、児童生徒の一定の規律違反行為などに対して科される制裁です。学校という教育の場の秩序を維持し、児童生徒に対する教育上の必要性に基づいて科される懲戒には、実施にあたり、児童生徒の心身の発達に応ずる等、教育上必要な配慮を加えることが求められているのです。つまり、「教育上必要な配慮」を欠いた懲戒は不適切なものとなるのです。

スッキリ解説 2

「退学、停学及び訓告の処分」は、学校教育法第11条に定める懲戒のうち、在学する児童生徒の法的地位に変動を及ぼすような法的効果を伴う懲戒を指します。退学は、児童生徒の教育を受ける権利を奪うものですから、義務教育を保障する観点から、公立の小中学校等の学齢児童生徒については行えません。停学は、教育を受ける権利を一定期間停止するものなので、義務教育の機会を奪わないようにするため、国公私立を問わず、学齢児童生徒に対して行うことは禁止されています。訓告は、児童生徒の非違行為に対し文書又は口頭で注意を与えるものです。

指導要録

スッキリ解説 1

「指導要録」とは、児童生徒の学習及び健康の状況を記録した書類の原本を指します(学校教育法施行令第31条)。指導要録は、児童生徒の学籍、指導の過程及び結果の要約を記録し、指導及び外部に対する証明等のために役立たせるための原簿としての性格を持ちます。その学校に在学する児童生徒の指導要録作成の義務は、校長にあるとされています。

スッキリ解説 2

児童生徒が進学・転学した場合、校長は指導要録の抄本(一部を写したもの)又は写しを作成し、進学・転学先の校長に送付することが義務付けられています。指導要録の抄本又は写しが進学・転学先の校長に送付されることにより、進学・転学後においても必要な情報が伝達され、整合性のとれた指導が円滑に継続できることになります。

出席簿

スッキリ解説 1

学校教育法施行令第19条において、小中学校等の校長には、その学校に在学する学齢児童生徒の出席状況を明らかにしておくことが義務付けられています。これを受け、学校教育法施行規則第25条では、校長に対し、児童生徒の出席状況を記録する原簿として出席簿の作成を義務付けています。なお、出席簿は、学校教育法施行規則第28条第1項により、学校に備えなければならない表簿の一つとされています。

監修/樋口 修資(明星大学教育学部長、東京学芸大学客員教授)

1976年東京大学教育学部卒業後、文部省(現・文部科学省)入省。2018年より明星大学教授。
学校教職員の働き方についての調査研究を実施している。