2018.08.24

試験に出る教育法規 スッキリ解説! 第1回・日本国憲法

法律用語のモヤモヤにはワケがある! 試験に出る教育法規 スッキリ解説!

難解な教育法規の用語には「訳」がある!
なぜ、そんなモヤモヤする「言い方」をしているのか、分かりやすく解説します!

日本国憲法 施行:1947(昭和22)年

《 概要 》日本国憲法は、国家の根本的な組織・作用を定める法規範であり、国の最高法規に位置付けられるものです。日本の全ての法律は日本国憲法に適合するようつくられています。日本国憲法は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の3大原理を基調としており、教育に関しては、「国民の教育を受ける権利」(第26条)、「学問の自由」(第23条)などの直接的な規定がおかれています。

教育を受ける権利 教育を受けさせる義務 義務教育の無償

スッキリ解説 1

教育を受ける権利は、日本国憲法で定める基本的人権のうち、社会的基本権に属するものであり、国民全員がひとしく教育を受ける権利をもつことを明らかにし、それを保障するものです。国民の教育を受ける権利を保障するため、憲法は、保護者に対して、その子に普通教育を受けさせる義務を負わせること、いわゆる「教育義務」を課しています。この保護者の「教育義務」は、憲法第26条第2項にいう「法律の定めるところにより」、その子を小・中学校等に就学させる義務、いわゆる「就学義務」の履行により実現されます。

スッキリ解説 2

義務教育の無償とは、国民に対して、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を課す以上、義務教育にかかる費用は国において負担すべきことを明言し、それを保障するものです。義務教育無償の範囲は、教育基本法第5条第4項により、国公立の義務教育諸学校における授業料は不徴収とされています。なお、義務教育で使用される教科書については、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律等により、国公私立の義務教育諸学校において無償の措置が講じられています。

法の下の平等

スッキリ解説

日本国憲法第14条第1項に定める「法の下の平等」とは、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的・経済的・社会的関係において差別されないこと(機会の平等)を意味するものです。つまり、「結果の平等」=絶対的平等までを意味するものではないとされます。憲法第26条では、国民はひとしく教育を受ける権利が保障されており、国は、「教育の機会均等」の実現を図る責務があるとされ、教育外的要因で教育上差別することは許されません。
なお、我が国に在住する外国人の児童生徒が我が国の学校教育を希望する場合には、公立の義務教育諸学校への就学の機会が与えられ、日本国憲法第26条に基づく教育を受ける権利が日本人の児童生徒と同様に保障されます。

全体の奉仕者

スッキリ解説

憲法第15条第2項に規定する「全体の奉仕者」とは、公務員の基本的な性格を規定するものです。国家公務員は、国民全体の奉仕者として、また、地方公務員は、地域住民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、全力を挙げて職務に専念する義務があります。
公立学校に勤務する教員は、地方公務員の身分を有することから、地方公務員法が適用されます。ただし、公立学校の教員は、「教育を通じて国民全体に奉仕する」という教育公務員としての職務と責任の特殊性に基づき、教育公務員特例法では、任免、給与、分限、懲役、服務及び研修等について特例措置が定められています。

監修/樋口 修資(明星大学教育学部長、東京学芸大学客員教授)

1976年東京大学教育学部卒業後、文部省(現・文部科学省)入省。2018年より明星大学教授。
学校教職員の働き方についての調査研究を実施している。