2019.02.25

試験に出る教育法規 スッキリ解説! 第7回・地方公務員法②

法律用語のモヤモヤにはワケがある! 試験に出る教育法規 スッキリ解説!

難解な教育法規の用語には「訳」がある!
なぜ、そんなモヤモヤする「言い方」をしているのか、分かりやすく解説します!

秘密を守る義務

スッキリ解説 1

 職員(地方公務員)が仕事をする上で知った秘密については,それが個人的な秘密か公的な秘密かを問わず,また,在職
中はもちろん退職後もこれを漏らしてはいけません。これが,「秘密を守る義務」であり,地方公務員の身分にある者とし
て守らなければならない「身分上の義務」です。この秘密を漏らした場合には,懲戒処分の対象となるほか,刑罰を課され
る(地方公務員法第60条第二号)ことになります。

スッキリ解説 2

 地方公務員法第34条にいう「秘密」とは,一般に知られていない事実で,それが一般に知らされることで一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものを指します。地方公務員が仕事を通じて知った事柄のうち,どれが「秘密」に当たるかは,社会通念に照らして個別に判断されます。学校の場合,児童生徒の成績,健康診断の記録,家庭状況調査書や指導要録など,さまざまなものが「秘密」に該当します。

職務に専念する義務

スッキリ解説 1

 「法律又は条例に特別の定めがある場合」を除き,地方公務員は勤務時間中,職務上の注意力のすべてを職責遂行のために用いなければなりません。それが「職務に専念する義務」であり,職責遂行に当たり守るべき「職務上の義務」です。

スッキリ解説 2

 職務に専念する義務が免除される「法律又は条例に特別の定がある場合」とは,①職務専念義務免除研修(教育公務員特例法第22条第2項),②教育に関する兼職・兼業(教育公務員特例法第17条),③育児休業(地方公務員育児休業法第4条)など法律の定めによる場合と,国民の祝日や年末年始等の休日など条例の定めによる場合があります。

政治的行為の制限

スッキリ解説 1

すべての公務員は「全体の奉仕者」であることから,政治的中立性を守る必要があります(日本国憲法第15条第2項)。このため地方公務員法第36条において「政治的行為の制限」が規定されているのです。ただし,公立学校教員は教育に関わる地位にあり,より厳しく政治的中立性を守るため政治的行為の制限については地方公務員法第36条ではなく,国家公務員法第102 条に定める国家公務員の例によるとされているため(教育公務員特例法第18 条),公立学校教員は一般の地方公務員とは異なる「政治的行為の制限」が適用されることを覚えておく必要があります。

スッキリ解説 2