2018.11.22

試験に出る教育法規 スッキリ解説! 第4回・学校教育法②

法律用語のモヤモヤにはワケがある! 試験に出る教育法規 スッキリ解説!

難解な教育法規の用語には「訳」がある!
なぜ、そんなモヤモヤする「言い方」をしているのか、分かりやすく解説します!

学校教育法 施行:1947(昭和22)年 最終改訂:2018(平成29)年

《 概要 》学校教育法は、日本国憲法及び教育基本法で示された教育の基本理念や原則を踏まえ、学校の種類やその目的・目標・修業年限及び組織編制など、学校教育の制度・内容の基本を具体的に定める重要な法律です。

児童の出席停止

スッキリ解説 1

「性行不良」とは、①他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為、②職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為、③施設又は設備を損壊する行為、④授業その他の教育活動の実施を妨げる行為の4つの行為を一又は二以上繰り返し行うことです(学校教育法第35条第1項)。「性行不良」であること、さらに「他の児童の教育に妨げがある」ことが認められた児童には、「出席停止」という処分を適用することが可能になります(中学校にも準用)。

スッキリ解説 2

「出席停止」は、市町村教育委員会が、性行不良であって他の児童の教育に妨げがあると認められる児童の保護者に対して命じることができると定められています(学校教育法第35条第1項、中学校にも準用)。
出席停止制度は、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点から設けられているものです。なお、いじめ防止対策推進法第26条では、市町村教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第35条第1項の規定に基づき出席停止を命ずる等、必要な措置を速やかに取ることとされています。

学校評価

スッキリ解説 1

学校教育法第42条における「文部科学大臣の定めるところ」とは、学校教育法施行規則第66条〜第68条を指します。学校教育法第42条は、学校評価を行い、その結果に基づいて学校運営の改善を図るために必要な措置を取ることで、教育水準の向上を図ることを定めています。そして、そのための具体的な手段が規定されているのが、学校教育法施行規則第66条〜第68条ということです。

スッキリ解説 2

「教育活動その他の学校運営の状況」とは、教育課程の編成や学習指導、生徒指導、進路指導といった教育活動をはじめ、校務分掌や教職員の活動、地域や家庭との連携、事務処理等を含む、学校としての活動全体を指します。
なお、学校評価における具体的な評価項目・指標等は、各学校が設定する重点目標等の達成に沿うような具体的かつ明確なものとし、教職員が意識的に取り組むことが可能な程度に精選することが求められています。

職員

スッキリ解説 1

「校務」とは、学校教育の実施のために必要なすべての業務を指します。教育課程に基づく学習指導はもとより、教育課程以外の教育活動も学校が計画して実施するものであれば校務に含まれます。さらに、学校の施設・設備等の管理、教職員の人的管理など、さまざまな業務が校務に含まれます。
校務は、これをつかさどる校長が最終的な権限をもって処理します。しかし、校長が校務のすべてを行うことは不可能であるため、個々の教職員に校務を分担し、処理させることになります。これが「校務分掌」です。

スッキリ解説 2

学校教育法第37条第11項では、「教諭は、児童の教育をつかさどる」と教諭の職務権限が定められています。「教育をつかさどる」とは、教諭の主たる職務を示したもので、教諭の職務を教育活動だけに限定するものではありません。教諭には、学校の管理運営に必要な校務についても、分担処理するという役割が求められています。

監修/樋口 修資(明星大学教育学部長、東京学芸大学客員教授)

1976年東京大学教育学部卒業後、文部省(現・文部科学省)入省。2018年より明星大学教授。
学校教職員の働き方についての調査研究を実施している。