2019.02.01

「いじめ」のコレだけポイント

コレだけポイント③ 「いじめ」への対応

「いじめ」への対応は「法律」と「基本方針」で定められている

 ここからは,教師として,いじめ問題にどのように対応していくのかを見ていきます。
 いじめの対応については,P.5で見た「いじめ防止対策推進法」で,基本的な考え方が示されています。すべての教員は,同法に従い,いじめに対応していく必要があります。
 ただし,同法で定めているのは,いじめ防止のための大切な理念や基本的な方針が中心。学校や教師がとるべき具体的な対応策にまでは触れられていません。これは,法律は一度制定するとかんたんに改正できないため,学校現場の細かな対応を規定するのには不向きだからという事情があります。
 このため,いじめ防止対策推進法第11 条では,国(文部科学省)に「いじめ防止基本方針」の策定を義務付け,第13 条において現場に則した方針を「学校いじめ防止基本方針」で定めると規定しています。
 現在のいじめ防止対策基本方針は,2013 年10 月に策定され,2017年3月に改定されたものです。教員採用試験では,いじめへの対応については,いじめ防止対策推進法に加え,いじめ防止基本方針から出題されるということを,まずは押さえておきましょう。

いじめは,どの学校や学級・どの子供にも起こり得ると考える

 いじめへの対応で,最も重要なことは,「いじめは常に存在している」という心構えで臨むことです。「自分の学級はいじめは無関係」「見ていないから,いじめは起きてない」という思い込みは,いじめの認知を遅らせることにつながります。いじめ防止対策推進法と,いじめ基本方針では,この点について,次のような記述で注意をうながしています。

やるべきことは「未然防止」「早期発見」「早期対応」の3つ

 前ページで見た通り,いじめに対しては,「どこでも,どの子供に対しても起こり得る」という心構えで臨むことが必要です。しかし,心構えだけでは,子供たちをいじめから守ることはできません。学校・教師には,具体的に行動し,責務を果たすことが求められます。
 この責務については,いじめ防止対策推進法の第8条で,次のように定めています。教員採用試験で最もよく問われる条文なので,この条文は暗記してしまいたいところです。

このいじめ防止対策推進法第8条の規定を受け,いじめ防止基本方針では,「未然防止」「早期発見」「早期対処」における,より具体的な方策を示しています。これらの方策についても試験でよく問われるので,しっかり確認しておくようにしましょう。

いじめには,専門家も含めた「組織」で対応する

 いじめは,一人の教師で抱え込むと,問題を悪化させてしまう可能性があります。そのため,いじめ防止対策推進法では,第22 条で,いじめに対応するために,教職員のほか,心理や福祉の専門家などによる組織を置き,組織対応することが定められています。
 この条文を受けて,いじめ防止基本方針では,学校には「学校いじめ対策組織」を置くと規定されました。試験では,学校いじめ対策組織の構成員が問われることがあるので,どのような専門家が加わる可能性があるのか,押さえておきましょう。